[Vol.1750] 変動幅拡大・底値切り上げがポイント

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。79.32ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,328.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年09月限は14,915元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年08月限は608.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1353.95ドル(前日比4.15ドル縮小)、円建てで6,836円(前日比9円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月18日 17時51分時点 6番限)
11,783円/g
白金 4,947円/g
ゴム 328.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド
NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「変動幅拡大・底値切り上げがポイント」
前回は、「非鉄金属価格は過去の常識で語れない」として、非鉄金属の国際価格の推移について述べました。

今回は、「変動幅拡大・底値切り上げがポイント」として、非鉄金属価格が長期視点で高騰している理由について述べます。

短・中期的には、銅や非鉄の値動きは米国や中国の経済指標や株価指数の動向、米国の金融政策の方向性に影響を受けることが多いですが、歴史的な高値水準で推移していることを考える上ではやはり、現代の特徴である「変動幅が急激に拡大」と、「底値水準が大幅に上昇」を考慮する必要があります。これらを分解すると、以下のようになります。

「変動幅が急激に拡大」した背景には、不確実性の高まりがあります。リーマンショックやコロナショック後の大規模な金融緩和で大量に発生した投機資金が流入していること、鉱山での障害発生や物流の目詰まり、天災・疫病起因の供給障害が断続的に発生していることで相場に圧力がかかっていることは、不確実性を高める出来事と深い関係があります。

また、「底値水準が大幅に上昇」した背景には、後戻りしない材料が発生したことが挙げられます。

新興国を中心に人口増加が続いており、インフラ整備に銅や非鉄が多用されていること、EV(電気自動車)関連の需要や、AI(人工知能)関連のインフラ・電子機器向け需要が膨張していること、西側と非西側の分断が供給減少懸念をもたらしていることは、相場を根底から支えて底値水準を大幅に上昇させた原動力だといえます。

次より、「変動幅が急激に拡大」と「底値水準が大幅に上昇」の具体的な事例を確認します。

図:非鉄金属価格が長期視点で高騰している理由
図:非鉄金属価格が長期視点で高騰している理由
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。