週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比1.42ドル高の83.70ドル、ブレント原油は0.25ドル高の87.13ドルとなった。

 前週末の海外原油は小反落。月末・四半期末に伴う調整売りが優勢となった。そのほか、EIAが発表した月報でガソリン需要が2月以来の低水準となっていたことも重しとなった。

 先週は中東情勢や原油在庫の減少が買い材料となり、堅調な推移となった。週明け1日は反発。レバノンのイスラム教シーア派ヒズボラがイスラエルに対する攻撃を強化しており、本格衝突に発展する可能性が意識されていることが引き続き支えとなった。全面的な武力衝突が開始されると、中東の産油国は否応なく巻き込まれることから、供給不安が高まる見通しである。また、米国がハリケーンシーズンに入ることから、メキシコ湾岸の石油関連施設への影響も注目されている。2日は反落。大型ハリケーン「ベリル」が週末にメキシコ湾に入ることで供給混乱懸念から買いが先行する格好となった。その後、米国立ハリケーンセンターが「ベリル」が週末には熱帯性低気圧になるとの見通しを示したことでマイナス圏まで沈む展開となった。3日は反発。EIA統計で原油在庫が予想を大きく上回る取り崩しとなったほか、製品在庫が減少したことが相場を押し上げた。また米長期金利の低下からドル安に振れたことも支援要因となった。4日は米国が独立記念日により休場。前日のEIA統計での在庫減少が引き続き意識され、ブレント原油は小幅高となった。

NY原油チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は引き続き底堅い推移となるか。米国が需要期となり需給が引き締まっているほか、ハリケーンシーズンに入ることで供給不安が高まりやすい環境となっている。また、ヒズボラとイスラエルの交戦激化も相場を下支えしており、現時点では原油供給に影響が出ていないものの、全面戦争となると供給混乱は必至だろう。米経済指標も弱い内容が相次いでおり、9月利下げ期待が高まっていることからドル安が進行すれば原油にとっては追い風となりそうだ。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。