[Vol.1765] 2022年の金(ゴールド)国際相場は「上昇」

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。81.91ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,367.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年09月限は14,715元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年08月限は626.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1352.95ドル(前日比2.95ドル拡大)、円建てで7,025円(前日比7円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月9日 17時00分時点 6番限)
12,238円/g
白金 5,213円/g
ゴム 319.4円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「2022年の金(ゴールド)国際相場は『上昇』」
前回は、「『株高』に不安を感じる個人投資家の方々」として、S&P500、金(ゴールド)、原油の価格推移を確認しました。

今回は、「2022年の金(ゴールド)国際相場は『上昇』」として、2022年の金(ゴールド)国際価格下落の背景を確認します。

前回述べたイベント内で行った小規模会場での講演では数十席ある席が埋まり、立ち見の方もおられました。こうした環境の中で「徹底議論!王道の金(ゴールド)、裏道のプラチナ」と題して講演をしました。その中で、集まった皆さまに「2022年の金(ゴールド)の国際相場は上昇・下落?」という問いを投げかけ、上昇・下落、いずれかに挙手をしていただきました。

2022年が、ウクライナ戦争が勃発したり、インフレ(物価高)が目立ったりした年であったことを手掛かりに、ほとんどの方が「上昇」に手を挙げられましたが、正解は「下落」でした。

金(ゴールド)の国際価格は、1,820.10ドル(2021年12月31日)から1,812.35ドル(2022年12月30日)に下落しました。ここでは、現代の金(ゴールド)相場が有事だけで動いていないこと、複数のテーマが同時進行していること、これらがもたらす上昇・下落の圧力を相殺しなければならないことを、述べました。

以下の図は、その2022年の金(ゴールド)市場の環境を示しています。複数のテーマとは、短中期の時間軸に関わるテーマ、有事ムード、代替資産(株の代わり)、代替通貨(米ドルの代わり)の三つです。確かに2022年は、有事ムードと代替資産起因の上昇圧力はあったものの、代替通貨起因の強い下落圧力に相殺され、価格が下落しました。

図:2022年の金(ゴールド)国際価格下落の背景
図:2022年の金(ゴールド)国際価格下落の背景
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。