週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.89ドル安の82.31ドル、ブレント原油は1.22ドル安の84.67ドルとなった。

 前週末の海外原油は反落。7月ミシガン大消費者態度指数が市場予想を下回る内容となり、景気先行きに対する不透明感から売りが優勢となった。

 先週は米中の景気先行き懸念が上値を抑えたが、ドル安と原油在庫の減少が支えとなり方向感に欠ける動きとなった。

 週明け15日は続落。週末にIEAが公表した月報で中国の4-6月期の石油消費が減少していたことが明らかとなったことに加え、同国の4-6月期GDPが前年比+4.7%と伸び率が鈍化したことから、石油需要の下振れ懸念が圧迫要因となった。16日も続落。中国の景気先行き懸念が重しとなるなか、米小売売上高が堅調な内容となり、9月利下げ観測がやや後退したことが圧迫要因となった。17日は反発。河野デジタル相が日銀の利上げが必要であると発言したことや、米トランプ前大統領がメディアのインタビューでドル高の是正を宣言したことによるドル安進行が原油を押し上げる格好となった。また、EIA統計で原油在庫の予想を上回る減少が示されたことも支援要因となった。18日は横ばい。米新規失業保険申請件数が市場予想を上回ったことで、早期利下げ期待の高まりが相場を支える展開となった。しかし、同時に景気後退による石油需要の減少も意識されたことは上値を抑えた。また、米主要株価が調整安となっていることも重しとなった模様。

NY原油チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週も引き続き強弱材料入り交じり、レンジでの推移となるか。EIA在庫統計で3週連続で原油在庫の減少が示され、需給ひっ迫への警戒感は下支えとなるだろう。また米利下げ期待の高まりや、トランプ前大統領がドル高の是正を宣言したことで、これまでのように一方通行の円安ドル高には進みにくいとみる。ただ、米国や中国の景気悪化による石油需要の減少が懸念されていることは重しとなっているようだ。その他、イスラエルとハマスの停戦協議には進展がみられないが、イスラエルのテルアビブではドローン攻撃を受けて死傷者が出ており、中東の緊迫感が再び高まっていることにも注意が必要である。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。