週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比2.91ドル安の76.87ドル、ブレント原油は2.51ドル安の80.08ドルとなった。

 前週末の海外原油は、中国の景気先行き懸念や、ガザの停戦交渉期待が圧迫要因となる中、米掘削稼働リグの増加もあり、週の安値圏で取引を終えた。

 先週は、中東情勢の緊迫化を受け反転となるも、米中の経済指標は振るわず景気縮小懸念を背景とした売りに高値からは軟化する動きとなった。

 週明け29日は、先週の流れをうけ続落。30日、ゴラン高原の攻撃を受けたイスラエルがヒズボラへの報復を検討との報道も、複数の当局者が戦火の拡大は避けたいとの発言を受け小幅続落。31日は、東京時間にイスラエルの攻撃によりハマスの最高指導者であるハニヤ氏がイランで死亡との報道を受け地政学リスクの高まりから反転。日銀による政策金利(0.25%←0~0.1%)引上げで、ドル円相場でドル安が進行したことも支援材料。堅調な地合いを引継いだ欧州時間では、EIA統計で原油在庫が取り崩しとなったことも好感され大幅反発とった。 しかし、8月1日、中東リスクが現時点では原油の供給に大きく影響しないとの見方が広がったほか、7月ISM製造業景気指数は市場予想を下回る46.8に低下。先に発表された7月中国財新製造業PMIも49.8と共に振るわなかったことから、景気の縮小が警戒され、前日の高値からは押し込まれる展開となった。

原油チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 中東情勢の緊迫化で、一旦は下げ止まり。続報では、イスラエルはハニヤ氏の前に、ゴラン高原攻撃の報復としてヒズボラの最高幹部であるシュクル氏の殺害を発表しており、当面イスラエルとイラン、ハマス、ヒズボラとの応酬に注意が必要となっている。ただし、当局者の発言からも、全面戦争は避けられるとみる向きが多く、また、米中の景気縮小懸念から、需要の先細りを背景とした売りで上値も限定的になると思われ、75ドル~80ドルの動きが予想される。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。