[Vol.1805] 資産形成に役立つ「時代の流れ」を確認する

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。69.59ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,545.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年01月限は16,180元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年10月限は521.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1620.2ドル(前日比2.50ドル拡大)、円建てで7,374円(前日比4円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月5日 17時19分時点 6番限)
11,636円/g
白金 4,262円/g
ゴム 349.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,109.0円/mmBtu(24年12月限 24年9月02日16時50分時点)

●NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「資産形成に役立つ『時代の流れ』を確認する」
前回は、「局面において目立ちつつある変化に注目する」として、S&P500の下落時期と金(ゴールド)価格の変動率を確認しました。

今回は、「資産形成に役立つ『時代の流れ』を確認する」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年9月時点)を確認します。

前回までの数回で、金(ゴールド)相場における、過去の常識が生きている「局面」の変化について述べました。今回・次回は「時代」について述べます。「時代」は長期・資産形成に役立ちます(「局面」は短期的な売買に役立ちます)以下の通り、中長期のテーマである、中国・インドなどの宝飾需要、中央銀行、鉱山会社、超長期のテーマである見えないジレンマは、「時代」という長い時間軸に分類されます。

「時代」について述べると、SNS(交流サイト)とESG(環境・社会・企業統治)の普及が民主主義の行き詰まりや西側と非西側の分断深化の一因となった可能性があります。

確かにESGは、温暖化ガスの排出削減や労働環境の改善など、大きな成果を上げたものの、急速に普及したことで社会にひずみ・分断を生み出しました。「ESG投資がもたらす光と影」と例えられることもあります。

2010年ごろからESGは、投資先を選別するツールとして積極的に用いられました。

しかし、2023年には、世界のESG投資信託から過去最大の資金流出があった、温室効果ガス排出の正味ゼロを目指す保険業界の国際加盟団体がピーク時から半減した、気候変動関連の株主提案・賛成率が過去10年で最低になった、米国の運用大手のCEOが「ESGという言葉は使わない」と発言した、などESGを否定する動きが強まっています(大手メディアより)。

ESGが、ESGを積極的に進めてきた西側諸国と、原油生産国や専制的な国が多い非西側諸国との間に分断が生じさせたことを、暗に認める動きが出始めていると言えます。

また、SNSは、2010年代に起きた北アフリカ・中東地域における民主化の波「アラブの春」や、2016年の英国のEU(欧州連合)離脱を問う国民投票、同年のトランプ氏が勝利した米大統領選挙などに、深く関わったといわれています。

SNSが増幅させた「大衆の渦」によって、アラブの春では武力行使による政権転覆が起きました。また、国の行く末を左右する大規模な選挙では、民主主義の根幹を揺るがす、思わぬ結果が出ました。SNSは、特定のグループを強く批判する攻撃的なポピュリズムを増幅させて民主主義を脅かす装置、とも言えます。

図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年9月時点)
図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年9月時点)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。