週刊石油展望

著者:児玉 圭太
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比1.05ドル高の68.87ドル、ブレント原油は2.75ドル高の74.38ドルとなった。

 前週末の海外原油は中国の10月鉱工業生産や原油処理量が低調な内容となったことや、FRBによる利下げペースが想定よりも緩やかになるとの見方が重しとなった。

 先週は地政学リスクを背景に底堅い推移。週明け18日は反発。米バイデン大統領が米国製の長距離ミサイルでロシア本土を攻撃することを容認したとの報が相場を押し上げた。また、ノルウェー最大級の油田「ヨハン・スベルドラップ」が停電により生産を停止したことも支援要因となった。19日はほぼ横ばい。ロシアとウクライナの戦闘激化懸念は支えとなったものの、ノルウェーの油田が一部生産を再開したと伝わったことが重しとなり、方向感に欠ける展開となった。20日は反落。ノルウェーの油田が完全に再開したほか、EIA統計でガソリン在庫が予想に反して積み増しとなったことも相場を押し下げた。21日は反発。ロシアがウクライナによるミサイル攻撃の報復として大陸間弾道ミサイル(ICBM)攻撃を実施したことで、両国間の緊張が高まったことが相場を押し上げた。また、中国が対外貿易の促進策を発表したことも支援要因となった。

NY原油チャートみんかぶ
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は戻り売りの展開となるか。今週はロシア-ウクライナ間の戦闘激化による石油供給懸念が意識され、先週の安値から切り返す動きとなったが、このまま石油供給に影響がなければ需給緩和懸念から売り優勢となりそうだ。一方で、ロシア石油施設がミサイル攻撃を受けるようであればロシア産石油の供給混乱を招き、WTIで67-72ドルのレンジを上抜ける展開が想定される。中国の景気刺激策は支えとなりそうだが、引き続きウクライナ情勢の先行きが注目される。

 

 

商品取引ならOKACHI

このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。