週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.55ドル安の68.25ドル、ブレント原油は1.03ドル安の71.97ドルとなった。

 前週末の海外原油は前日の米感謝祭の祝日から連休を取っている参加者が多く、閑散としたマーケットだったが、イスラエルとヒズボラの停戦合意に懐疑的な見方が強まっていることは支えとなった一方、来年の供給過剰見通しが重しとなる中で上値重い推移となった。

 先週は週前半はOPECプラス会合において減産幅の縮小開始時期が3ヵ月延長されるとの思惑から上昇したものの、会合の結果が事前予想通りとなったことで戻り売りが入ったほか、来年の供給過剰見通しが重しとなり往って来いの展開となった。週明けは中国の製造業PMIが堅調な内容となったことから石油需要の増加期待が高まったほか、停戦合意したにもかかわらずイスラエルがヒズボラの戦闘員を殺害したと伝わったことが支えとなった。翌3日はOPECプラス減産幅の縮小開始時期を3ヵ月延長するとの思惑が支えとなったほか、イスラエル国防相が停戦合意が崩壊すればレバノンを攻撃すると警告したことが支援材料となり堅調な推移となった。また、シリアで内戦が激化しており、イランやロシアが支援するシリア政府⇔イスラエルや米国が支援する反政府軍と、代理戦争の形となっていることから地政学リスクが意識されたことも下支えとなった。翌4日は前日に上昇した戻り売りやOPECプラス会合を前に利食いが入ったことで軟調な推移となった。また、EIA統計において原油在庫は減少したものの、製品在庫は予想以上に増加したことも嫌気された。翌5日はOPECプラス会合で増産開始時期が来年4月に延長されたものの、市場予想通りで織り込み済みだったことから会合後は戻りを売られる格好となった。また、OPECプラス以外の産油国の増産が続く中で来年の供給過剰見通しが警戒されていることも圧迫材料となった。

NY原油チャートみんかぶ
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は上値重い推移が想定されそうか。今週注目されたOPECプラス会合では市場予想通り4月からの減産幅縮小開始で合意したものの、織り込み済みとなっていたことから結果を受けて売られる展開となった。米国などOPECプラス加盟国以外の産油国による増産や中国の石油需要低迷により来年の需給見通しが緩和に向かうとの警戒感が高まっており、目先は下値を探る展開が想定されそうか。また、FOMにおいて12月の利下げは織り込まれつつある一方、ドイツやフランスといった欧州の政情不安で対ユーロでのドル高基調が続いていることも重しとなりそうであり、WTIで節目の65ドル、ブレント原油で70ドルを試す展開を予想する。一方でイスラエルとヒズボラの交戦が続いているほか、シリアの内戦激化など地政学リスクが意識されていることは支援材料となりえそうか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。