サウジアラムコ、タダウル市場で900億リヤルの調達へ

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。57.92ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,464.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年01月限は12,800元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年01月限は463.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで569.5ドル(前日比8.4ドル縮小)、円建てで1,971円(前日比8円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(11月25日 17時56分頃 先限)
 5,094円/g 白金 3,123円/g 原油 39,520円/kl
ゴム 188.0円/kg とうもろこし 23,230円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「サウジアラムコ、タダウル市場で900億リヤルの調達へ」

前回は「サウジアラムコ≒サウジアラビア」として、12月にサウジの国内市場(タダウル市場)への上場を予定している、サウジアラムコの原油生産量の規模について書きました。

今回は「サウジアラムコ、タダウル市場で900億リヤルの調達へ」として、12月にタダウル市場で株式を公開しようとしているアラムコが調達し得る金額について書きます。

ムハンマド皇太子は、アラムコの資産価値を約7兆4000億リヤル(2兆ドル)(1リヤル=0.27ドルで計算 以下同)としましたが、現在公表されているタダウル市場での1株あたりの売り出し価格である30リヤルから32リヤル(8.10ドルから8.64ドル)で計算すると、約6兆2000億ドル(1兆6740億ドル)となります。

11月21日時点で、サウジ国内の個人投資家と許可された機関投資家から合計で730億リヤル(197億ドル)相当の応募があったと報じられました。今回のIPOによる調達額はおよそ900億リヤル超(250億ドル程度)とみられます。

サウジ国内の個人投資家の応募は11月28日まで、許可された機関投資家の応募は12月4日までと報じられており、実際に最終的な売り出し価格が決まるのは、12月5日と言われています。12月5日は、第177回OPEC定時総会の日でもあります。

サウジは総会を主導して、減産延長を決定、あるいは減産延長を決定することを約束をした上で来年2月か3月に臨時総会を決定し、原油相場を引き上げ、最終売り出し価格を引き上げる可能性があります。

ただ、サウジと敵対するイランが、アラムコのIPOが上手くいくことでビジョン2030が推進され、サウジが近代化して欧米諸国とさらに緊密になることを嫌気し、IPOが上手くいかなくなる、つまり、原油価格が下がる事態を作る(具体的にはOPEC総会で減産延長に難色を示す)などの行動になる可能性がある点には、注意が必要です。

図:サウジアラムコのタダウル市場へのIPOについて


出所:各種情報をもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。