週刊石油展望

　先週末のWTI原油は前週比1.85ドル高の70.10ドル、ブレント原油は1.49ドル高の73.46ドルとなった。

　前週末の海外原油はOPECプラスが減産幅の縮小開始を来年4月に延長したほか、協調減産も2026年末まで1年間延長することで合意したことは支えとなった一方、来年以降の需給緩和への警戒感が重しとなる中で軟調な推移となった。また、ドル高進行したことも嫌気された模様。

　先週はシリアのアサド政権が崩壊し中東の地政学リスクが高まったことが支援材料となったほか、中国が来年の財政・金融政策の拡大を示唆したことが好感され堅調な推移となった。週明けは中国共産党の中央政治局会議において、より積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策が必要と示唆されたことから中国経済の好転期待が高まり、石油需要が刺激されるとの思惑から底堅い推移となった。翌10日は11月の中国の原油輸入量が前年比14.3％増加となったことが好感されたほか、シリアを巡る中東の地政学リスクが意識されていることが支えとなり堅調な推移となった。翌11日はEUがロシア産原油の取引を抑制する追加制裁で合意し、供給の混乱が警戒されたことが支援材料となった。一方でEIA統計において石油製品在庫が大幅増加したほか、OPEC月報において今年と来年の石油需要見通しが5カ月連続で下方修正されたことは重しとなった。週末にかけてはIEA月報において来年の世界の需要見通しについては上方修正されたものの、供給過剰見通しが繰り返し指摘されたことが重しとなり軟調な推移となった。


出所：みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

　今週の原油相場は方向感を探る展開が想定されそうか。OPECプラスの月報では来年の石油需要見通しが日量154万bbl増から同145万bbl増に5カ月連続で下方修正された。IEA月報においては需要見通しは日量99万bbl増から同110万bbl増に上方修正されたものの、需給見通しでは日量95万bblの供給超過となり、OPECプラスが自主減産を縮小するのであれば供給がさらに過剰となると警告していることから来年の需給緩和への警戒感が高まっている。一方で中国が金融政策をこれまでの中立から適度に緩和的へと変更し、財政政策についてもより積極的に行うとしたことから景気好転への期待が高まっている。また、EUがロシア産原油への追加制裁を発表し、米国もロシアやイランに対して新たな制裁を検討していると伝わったことは支えとなっており、強弱材料が交錯する中で目先はレンジ内での推移が想定されそうだ。