週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.19ドル安の69.91ドル、ブレント原油は0.85ドル安の72.61ドルとなった。

 前週末の海外原油は、米欧によるロシア産原油への追加制裁により供給懸念が高まったほか、トランプ次期大統領がイラン核兵器製造を阻止するために核施設の空爆を含めた対応を計画していると伝わったことが支えとなり堅調な推移となった。

 先週は、16日発表の中国小売売上高11月(前年比)が3.0%と事前予想(4.6%)を大きく下回る内容となったことをうけ、中国経済への不透明感から同国の石油需要減少への警戒感が強まり、これまでのレンジ上限を前に反落。FOMCを控える中、ドイツの景気予測も事前予想を下回るなど需要面での材料はネガティブとなり、週前半は、ポジション調整の動きが先行し上値の重い展開となった。18日は、EIA統計で原油及び石油製品の在庫が、12億3317万4000バレルと今年4月以来の低水準を更新したことから堅調な動きを見せた。一方、FOMCでは予想通り0.25%の利下げを実施したものの、2025年の金利見通しでは利下げペースの減速を示唆したことからドル高進行となり、上値を抑える要因となった。日銀は動かず。1月の利上げについても明言されず、週末にかけてドル高の流れが継続となり、原油相場は70ドル割れで推移している。

NY原油チャートみんかぶ
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週はクリスマス休暇で市場参加者が限定されることもあり、引続き方向感を探る展開となりそう。

 米欧のロシア産原油への追加制裁による供給懸念や、イランへの制裁をはじめ中東情勢には引続き注意が必要だが、
 OPECプラスの減産も非加盟産油国の増産により効果が薄く、中国の景気低迷による需要不振から需給緩和見通しに変化は見られず、上値の重い展開が続くと思われる。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。