[Vol.2012] 資産形成におけるコモディティの役割

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。ウクライナ・ロシア情勢の悪化懸念などで。69.22ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。3,381.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年09月限は14,360元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年08月限は527.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1921.95ドル(前日比27.85ドル拡大)、円建てで9,930円(前日比24円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月14日 17時05分時点 6番限)
16,086円/g
白金 6,156円/g
ゴム (まだ出来ず)
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物 月足  単位:ドル/バレル
NY原油先物 月足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「資産形成におけるコモディティの役割」
前回は、「『10』は金(ゴールド)とプラチナで構成する」として、金(ゴールド)とプラチナの積立投資シミュレーションを、確認しました。

今回は、「資産形成におけるコモディティの役割」として、株式とコモディティの決定的な違いを、確認します。

わたしたちは今、どのような時代を生きているのでしょうか。なぜ、資産形成を行うのでしょうか。なぜ、資産形成の際にコモディティ銘柄を含める必要があるのでしょうか。資産形成におけるコモディティの役割、2010年ごろにはじまった激動の時代などについて触れながら、これらの問いへの筆者なりの答えを述べます。

金(ゴールド)や原油、穀物などの国際商品を意味する「コモディティ」には、「川上」と「中立」という特徴があります。

近年の日経平均を取り巻く環境を確認します。日経平均は国内起因の無数の上昇・下落の圧力を受けて推移しています。例えば、日本の各種経済指標、金融政策、個別企業の決算などです。

しかし、日経平均が動く要因は、国内起因だけではありません。海外起因の要因も、強く影響を及ぼしています。例えば米国の動向、ヨーロッパの動向、中国やインドといった新興国の動向などです。

そして、日本を含むほぼすべての国に影響を与えているのが「コモディティ」です。エネルギー、金属、食品の価格動向はいずれも、ほぼすべての国に大変に大きな影響を与えています。つまりコモディティはさまざまな世の中の事象の「川上」にあると言えます。

また、以下の図は、株式とコモディティの決定的な違いを示しています。左側の株式については、投資や経済の世界ですので、価格が上昇するとうれしいと思う人が多くなります。例えば投資家や企業などです。

一方、コモディティですが、コモディティは様々な事象の川上に存在しますので、生活や社会そのものです。このため、価格が上がると消費者や市場関係者がうれしいと思い、価格が下がると消費者がうれしいと思います。つまりコモディティにおいては、全体として、上昇と下落は「中立」であると言えます、この点は株式とコモディティの決定的な違いです。

図:株式とコモディティの決定的な違い「うれしいのは誰!?」
図:株式とコモディティの決定的な違い「うれしいのは誰!?」
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。