[Vol.2013] コモディティ市場の全体観

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。ウクライナ・ロシア情勢の懸念後退などで。66.63ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。3,374.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年09月限は14,395元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年08月限は518.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1949.45ドル(前日比8.35ドル拡大)、円建てで10,007円(前日比25円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月15日 19時07分時点 6番限)
16,102円/g
白金 6,095円/g
ゴム 317.9円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物 月足  単位:ドル/バレル
NY原油先物 月足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「コモディティ市場の全体観」
前回は、「資産形成におけるコモディティの役割」として、株式とコモディティの決定的な違いを、確認しました。

今回は、「コモディティ市場の全体観」として、主要なコモディティの価格推移を確認します。

コモディティ市場の全体観について述べます。株価指数であるS&P500種指数、金(ゴールド)、原油の、長期視点の価格推移を確認すると、2010年ごろ以降、S&P500指数は、突出した長期の上昇トレンドを描いています。上昇を願う、投資家を含めた市場関係者の思惑を反映しているかのような値動きです(しばしば、短期視点の下落は起きています)。

一方、価格の動きが「中立」のコモディティにおいては、金(ゴールド)は少し上昇、原油はほとんど横ばいです。上昇と下落が中立のコモディティは、株価指数に比べるとあまり大きく動いていない印象があります。

コモディティにおける個別銘柄の価格動向を確認します。以下の図の左上は、エネルギーに分類される原油と液化天然ガス(ここでは日本の輸入LNG)の値動きです。右上は、農産物に分類される砂糖とコーヒー、左下は穀物に分類されるトウモロコシと小麦、右下は貴金属に分類される金(ゴールド)とプラチナです。

エネルギー、農産物、穀物、貴金属の共通点は、2010年ごろ以降、長期視点の「底上げ」が起きていることです。先述のとおり、2010年ごろ以降、株価指数が突出した上昇を描いているのに対し、コモディティはゲタを履いたかのように、長期視点の底上げが起きています。これがコモディティの市場の全体観です。

図:主要なコモディティの価格推移
図:主要なコモディティの価格推移
出所:世界銀行のデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。