[Vol.1886] プラチナ:低位安定、積立投資の好機続く

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。74.67ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,666.91ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年05月限は16,780元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年02月限は589.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1690.66ドル(前日比1.01ドル拡大)、円建てで8,737円(前日比17円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月8日 16時27分時点 6番限)
13,543円/g
白金 4,806円/g
ゴム 358.2円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,960円/mmBtu(25年4月限 12月19日17時25分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「プラチナ:低位安定、積立投資の好機続く」
前回は、「金(ゴールド):上昇予想、投資機会続く」として、金(ゴールド)市場を取り巻く環境(2024年)を確認しました。

今回は、「プラチナ:低位安定、積立投資の好機続く」として、プラチナ市場を取り巻く環境(2024年)を確認します。

近年のプラチナ相場は、1トロイオンス当たり1,000ドルを挟んだプラスマイナス250ドル程度のレンジ内で推移しています。レンジ相場は、相場が上昇圧力によって形成された下値の目安と、下落圧力によって形成された上値の目安の間で推移している状態のことです。つまり近年のプラチナ相場は、上下の圧力に挟まれて推移しているのです。

下値の目安である750ドルは、リーマンショック(2008年9月)直後以降、長期視点で維持している安値水準です。上値の目安である1,250ドルは、2021年序盤にコロナショック発生後に行われた大規模な金融緩和時に一時的につけた高値水準です。

リーマンショック発生直前は2,000ドル近辺でした。この水準に比べると、近年のレンジの中心である1,000ドルはおよそ2分の1です。このため、近年のプラチナ相場は、長期視点の安値水準で推移しているといえます。

足元、プラチナ相場のレンジ形成を促している上下の圧力は、以下のとおりです。下限を形成する上昇圧力は、短中期的には「主要国の景気楽観論」「金(ゴールド)相場の動向」など、中長期的には「フォルクスワーゲン問題関連」、上限を形成する下落圧力は、短中期的には「主要国の景気悲観論」「金(ゴールド)相場の動向」、中長期的には「フォルクスワーゲン問題関連」がもたらしていると、考えられます。

複数のテーマが同時進行していること、それらがもたらす圧力が相殺されて価格が形成されていること、同じテーマでも正反対の圧力を生む場合があること、などに留意する必要があります。

フォルクスワーゲン問題発覚を期に、「もうダメだ!」と多くの市場関係者が強く否定し、諦めムードが漂いはじめた2015年から、2025年で10年目を迎えました。すでに足元、自動車排ガス浄化装置向け需要は2015年の水準にほぼ回復しているため、呪縛におびえる必要はなくなったと言えます。

2025年のプラチナ相場については、短中期的には「主要国の景気動向」や「金(ゴールド)相場の動向」がもたらす上下の圧力を受けながら、それらのバランスに応じて細かく上下する展開が予想されます。

中長期的には「フォルクスワーゲン問題」の呪縛から解放されつつあることを受け、底値を切り上げる可能性があります。超長期的なテーマである水素関連の新需要増加や、2025年の全体観に関わる世界分裂をきっかけとした出し渋り起因の主要鉱山生産国からの供給減少が目立てば、なおのこと、底値切り上げが目立つ可能性があります。

2025年は、超長期視点でとらえれば「積立取引」を開始するタイミングであると言えるでしょう。足元の価格水準が自分自身の過去の高値や、金(ゴールド)に比べて圧倒的に安く、それでいてしばらく現在の水準を維持する可能性があり、超長期視点で見て価格上昇が起きそう、という条件はまさに、積立投資の効率を最大化させる要因だからです。

図:プラチナ市場を取り巻く環境(2024年)
図:プラチナ市場を取り巻く環境(2024年)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。