[Vol.1887] 原油:高止まり、インフレを投資機会へ

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。73.12ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,679.61ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年05月限は16,910元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年02月限は580.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1695.06ドル(前日比6.36ドル拡大)、円建てで8,810円(前日比11円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月9日 17時57分時点 6番限)
13,617円/g
白金 4,807円/g
ゴム 364.9円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,960円/mmBtu(25年4月限 12月19日17時25分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「原油:高止まり、インフレを投資機会へ」
前回は、「プラチナ:低位安定、積立投資の好機続く」として、プラチナ市場を取り巻く環境(2024年)を確認しました。

今回は、「原油:高止まり、インフレを投資機会へ」として、原油市場を取り巻く環境(2024年)を確認します。

2024年のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油相場は、高値こそ前年の90ドル台に届かなかったものの、数年にわたって続いている80ドルを挟んだプラスマイナス15ドル程度のレンジ内に収まりました。

このレンジの水準は、長期視点で見れば「高い」といえます。2000年代前半に付けていた30ドル台や2015年ごろの40ドル台に比べると、はるかに高いためです。

この意味では、近年の原油相場は「長期視点の高止まり」状態にあるといえます。世界でまん延するインフレがなかなかなくならないのはこのためです。足元、原油相場のレンジ形成を促している上下の圧力は、以下のとおりです。

下限を形成する上昇圧力は「産油国での戦争」「OPECプラス(石油輸出国機構12カ国と非加盟の産油国10カ国で構成)の生産動向」「トランプ政権への思惑」「米国の金融政策」など、上限を形成する下落圧力は「OPECプラスの生産動向」「トランプ政権への思惑」「中国悲観論」などです。

筆者は2025年も、こうした環境が継続すると考えています。2025年のWTI原油先物は、基本的には80ドルを挟んだプラスマイナス15ドル程度(想定レンジ:65~95ドル)、突発的な事象の影響を受けた瞬間的な上下を考慮するとプラスマイナス20ドル程度(想定レンジ:60~100ドル)の値動きになると、現時点で考えています。

図:原油市場を取り巻く環境(2024年)
図:原油市場を取り巻く環境(2024年)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。