OECD石油在庫の増加は、減産を“強化”する動機に

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の下落などで。57.74ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,463.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は12,475元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年01月限は461.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで569.35ドル(前日比3.95ドル拡大)、円建てで1,974円(前日比7円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(11月28日 19時36分頃 先限)
 5,119円/g 白金 3,145円/g 原油 40,020円/kl
ゴム 187.6円/kg とうもろこし 23,050円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OECD石油在庫の増加は、減産を“強化”する動機に」

今回は「OECD石油在庫の増加は、減産を“強化”する動機に」として、OECD諸国の石油在庫について書きます。

OECDとは、経済協力機構のことで、欧州を母体としたOEECに米国とカナダが加盟して、1961年にOECDが発足。現在36カ国が加盟しています。(2018年11月時点)

1964年に日本が、1980年代にメキシコや韓国などが加盟し、現在に至っています。

OECDは、欧米主要国や日本などの先進国の集合体と言えます。

先進国の集合体であるOECDが保有する石油在庫は、OPECのウェブサイトのウェブサイトに度々登場します。

OECD石油在庫を減少させることが、協調減産の大義名分になっているためです。

以下のグラフのとおり、2017年1月の協調減産開始後、2014年以降に過剰に積み上がったOECD石油在庫は、減少し始めました。

しかし、2018年6月、OPECは、総会で協調減産を緩和(限定的な増産)をすることを決めました。

同年5月にトランプ大統領がイラン核合意から単独で離脱し、イランへの制裁を開始することを決め、このため、イランの原油生産量が減少する観測が高まったため(実際にその後、減少した)です。

この減産緩和決定後、OPEC内で特にサウジを中心に、複数の減産実施国が増産をはじめました。

ただ、このサウジ等の増産は、イランの生産減少分を大きく上回る規模だったため、OECD石油在庫が積み上がっていきました。

現在、OECD石油在庫は増加中ですが、OPEC等が本当に世界の石油需給の安定に貢献したいと考えているのであれば、在庫の増加は、減産を強化する動機になると考えられます。

2019年1月以降、在庫が増加しているということは、現在の減産を継続するだけでは、在庫が減少しない可能性があります。

つまり、在庫を減らすには、現在よりも、減産を強化する必要がある、ということになります。

図:OECD石油在庫 単位:百万バレル


出所:米エネルギー省(EIA)の情報をもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。