[Vol.1901] 用意周到のOPECプラスは高値維持へ画策中

著者:吉田 哲
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原油反落。ドル指数の反発などで。72.31ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,807.56ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)春節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心)春節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1812.11ドル(前日比4.09ドル縮小)、円建てで9,125円(前日比43円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月30日 17時32分時点 6番限)
13,854円/g
白金 4,729円/g
ゴム -円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,960円/mmBtu(25年4月限 12月19日17時25分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「用意周到のOPECプラスは高値維持へ画策中」
前回は、「長期視点でトランプ2.0は世界分断を促す」として、2010年ごろ以降の世界分断発生とコモディティ(国際商品)価格上昇の背景を確認しました。

今回は、「用意周到のOPECプラスは高値維持へ画策中」として、OPECプラスの減産(イメージ)を確認します。

OPECプラスは現在、協調減産(ベースになる減産)と、自主減産(有志国による一時的な減産)の2階建てで、原油の減産を実施しています。

OPECプラスは2024年12月の会合で、協調減産の実施期間を2026年12月までに延長することを決定しました。同時に、自主減産を2025年4月から縮小し始め、2026年後半に終えることを決定しました。OPECプラスの決定は、原油相場を現在の高値で維持する策(協調減産維持)と、世界の原油生産シェア維持(自主減産縮小)を、両立させるものでした。

トランプ氏が11月の米大統領選挙で勝利したことを受け、OPECプラスは、米国の原油生産量増加→同国の原油生産シェア拡大→OPECプラスのシェア低下→OPECプラスの市場への影響度低下、という連想が拡大するのを止める必要がありました。それでいて、原油相場を高値で維持する必要がありました。

OPECプラスが望む原油価格の水準を探るヒントがあります。IMF(国際通貨基金)が算出、公表している財政収支が均衡するときの原油価格です。同データ内で確認できるOPECプラスに属する11カ国の平均は「90.9ドル」です。90ドルを超えることで、財政収支が均衡する計算です。

長期視点で見た高値水準を望みつつ、生産シェアを損なわないようにするOPECプラスは、巧妙な戦略を講じているといえます。

自主減産縮小だけを見れば原油相場に下落圧力がかかるように見えますが、減産のベースである協調減産が同時進行して上昇圧力がかかっていることを考えれば、OPECプラスの生産動向がもたらす影響は差し引きすると、やや上昇だと筆者は考えています。

図:OPECプラスの減産(イメージ) 単位:万バレル/日量
図:OPECプラスの減産(イメージ) 単位:万バレル/日量
出所:ライスタッド・エナジー、JODIのデータおよびOPECの資料を基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。