週刊石油展望

　先週末のWTI原油は前週比1.21ドル安の73.27ドル、ブレント原油は0.96ドル安の77.20ドルとなった。

　前週末の海外原油はドル安進行したことが支えとなった一方、トランプ大統領がOPECに対して値下げを要求したほか、米国の増産方針を示したことが引き続き重しとなり強弱まちまちな推移となった。

　先週は株安進行したことでリスクオフムードが高まったことほか、在庫の増加が重しとなり軟調な推移となった。週明けは中国のディープシークスによる生成AI の台頭により米国のAI産業が脅威にさらされるとの思惑が高まり、株価が下落するなどリスクオフムードが強まったことが重しとなった。チャットGPTなどの米製AIと比較して高性能なうえ、安価で提供されたことからハイテク企業が占める割合の多いナスダック総合指数が急落する格好となった。翌28日は株価の反発でリスクオフムードが緩和したほか、リビアでの抗議デモにより港への原油の積み込みが停止していると伝わり、供給懸念が高まったことが支えとなった。翌29日はリビアの抗議活動が終息に向かい、原油の積み込みが再開したと伝わったほか、EIA統計において原油やガソリン在庫の増加が示されたことが重しとなり軟調な推移となった。週末にかけては前日に下落した押し目買いの動きから小幅に反発すると、米国による関税賦課によりカナダ・メキシコ両国からの原油輸入が減少する可能性があるとの思惑が支援材料となり堅調な推移となった。


出所：みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

　今週の原油相場は様子見姿勢が強まる中で横ばいでの推移が想定されそうか。トランプ大統
　領によりメキシコとカナダからの輸入品に25％の関税がかけられたものの、カナダの原油などのエネルギー関連製品については10％に軽減されたことでひとまず落ち着く格好となった。ただし、カナダやメキシコは米国の関税に対して報復措置をとる構えを示しており、関税の課し合いなどに発展すればWTIベースでは高値要因として警戒されそうだ。一方で米国が中国からの輸入品にも10％の関税上乗せを決めており、インフレ再燃や景気悪化懸念が高まっていることは重しとなりそうであり、足元では強弱材料が交錯する中で様子見姿勢が強まりそうか。