週刊石油展望

著者:児玉 圭太
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比2.28ドル安の70.99ドル、ブレント原油は2.46ドル安の74.74ドルとなった。

 前週末の海外原油は反落。米国によるメキシコ、カナダ、中国への関税発動を受け、リスク回避ムードとなったことから株式とともにリスク資産とされる原油も売られる格好となった。

 先週は貿易摩擦への懸念や供給過剰見通しが重しとなり、軟調な推移となった。週明け3日は反発。米国の関税発動に対してカナダも報復関税の実施を表明し、エネルギー供給の不安定化が意識された。ただ、その後はメキシコ、カナダへの関税発動が1か月延期されたとの報から売られる展開となった。4日は反落。中国が米国に対して報復措置として、米国から輸入する石炭やLNGなどに最大15%の追加関税を課すと発表し、世界経済の悪化懸念が圧迫要因となった。また、トランプ大統領がイランに対して最大限の経済的圧力をかけるよう米財務長官に命令したと伝わったことから、安値から大きく切り返す動きとなった。5日は続落。米中貿易摩擦が引き続き重しとなるなか、EIA統計において原油、ガソリン在庫が予想を上回る取り崩し幅となったことが相場を押し下げた。また、厚生労働省が発表した12月の勤労統計で実質賃金が2ヵ月連続のプラスとなり、日銀が早期の追加利上げを行うとの観測が高まったほか、米1月サービス業PMIが市場予想を下回ったことから利下げ期待が浮上し、円高ドル安が進む展開となっている。6日は続落。米国がイランに対して新たな制裁を課すと公表したことで買いが先行したものの、トランプ大統領の増産方針が改めて示されたとの報が圧迫要因となった。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は引き続き上値重い推移となるか。先週OPECプラスの共同閣僚監視委員会(JMMC)が開催されたが、トランプ大統領の原油価格引き下げ要求に応じず、4月から減産幅を縮小することを確認する格好となった。また、米国の原油在庫も増加傾向にあり、貿易摩擦による世界経済の悪化懸念が引き続き上値を抑える展開となるだろう。まずはWTIで70ドルを維持できるかが焦点となるか。今週はEIA、OPEC、IEA月報の発表を控えており、その内容にも注目したい。

 

 

商品取引ならOKACHI

このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。