週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.62ドル高の71.61ドル、ブレント原油は0.66ドル高の75.40ドルとなった。

 前週は米国によるイランへの制裁により供給懸念が高まったことは支えとなった一方、トランプ関税による景気悪化懸念が重しとなり軟調な推移となった。

 先週はイラン制裁、ロシア制裁が再度ファンダメンタルの中心に戻りブレント原油ベースで一時75ドルから77ドルまで上昇した。しかしながら12日にアメリカ仲介のもとロシア・ウクライナ停戦交渉が具体化し始めたことや、米原油在庫が先週に続き増加したことが重しとなると再度74ドル前半まで下落する動きとなった。一方でウクライナ停戦期待が高まったことから欧州景気回復期待が高まりユーロ高・ドル安進行したほか、トランプ関税の見直し(相互関税)により関税導入まで時間ができたこと、売られる過ぎの自立反発から押し目は買われると下げ幅を縮小する展開となった。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油市場は先週に続きトランプリスクにさらされながら推移するとみられる。ウクライナ停戦交渉の前交渉が今週末から始まる中で、停戦への具体的な動きが見られれば原油相場の圧迫材料となりそうか。ここ数日ブレンド原油は74ドルが下限値となっているが、市場がウクライナの停戦交渉を織り込んでいくならば70~72ドルまで下落しそうだ。

 一方でイランへのリスクは残っており、ニューズウィーク誌ではイスラエルが核施設への攻撃を計画していると報じたほか、イラン原油の買い手である中国海運会社に対する制裁により供給懸念が高まっていることは支えとなっており、押し目ではある程度底堅さも見られるか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。