[Vol.1918] OPECプラスはしたたかに高値維持を画策中

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。68.98ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,923.50ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年05月限は17,600元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年04月限は539.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1936.5ドル(前日比12.90ドル縮小)、円建てで9,567円(前日比21円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月26日 17時20分時点 6番限)
14,102円/g
白金 4,535円/g
ゴム -円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,161円/mmBtu(25年5月限 2月25日17時16分時点)

●NY原油先物 月足  単位:ドル/バレル
NY原油先物 月足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「OPECプラスはしたたかに高値維持を画策中」
前回は、「原油は上下の圧力に挟まれて『高止まり』」として、足元の原油相場を取り巻く環境(2025年1~2月)を確認しました。

今回は、「OPECプラスはしたたかに高値維持を画策中」として、OPECプラスの減産(イメージ)を確認します。

OPECプラスは現在、協調減産(ベースになる減産)と、自主減産(有志国による一時的な減産)の二階建てで、原油の減産を実施しています。

OPECプラスは2024年12月の会合で、協調減産の実施期間を2026年12月までに延長することを決定しました。同時に、自主減産を2025年4月から縮小し始め、2026年後半に終えることを決定しました。OPECプラスの決定は、原油相場を現在の高値で維持する策(協調減産維持)と、世界の原油生産シェア維持(自主減産縮小)を、両立させるものでした。

トランプ氏が米大統領選挙で勝利したことで、OPECプラスは、米国の原油生産量増加→同国の原油生産シェア拡大→OPECプラスのシェア低下→OPECプラスの市場への影響度低下、という連想を拡大しないようにする必要がありました。それでいて、原油相場を高値で維持するための策を講じる必要がありました。

OPECプラスが望む原油価格の水準は、IMF(国際通貨基金)が算出している、財政収支が均衡するときの原油価格を参照することが有用です。これによればOPECプラスに属する11カ国の平均は「90.9ドル」です。90ドルを超えることで、財政収支が均衡する計算です。湾岸産油国主要5か国(サウジ、UAE、オマーン、クウェート、イラク)の平均はおよそ75ドルです。

長期視点で見た高値水準を望みつつ、生産シェアを損なわないようにするために、OPECプラスは、巧妙な策を講じています。自主減産縮小だけを見れば生産量は増えそうですが、減産のベースである協調減産が同時進行していることを考えれば、原油相場を暴落させ得る過大な生産は行われないと言えます。

図:OPECプラスの減産(イメージ) 単位:万バレル/日量
図:OPECプラスの減産(イメージ) 単位:万バレル/日量
出所:ライスタッド・エナジー、JODIのデータおよびOPECの資料をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。