[Vol.2268] 「戦時下のレンジ」を維持する原油相場

著者:吉田 哲
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原油反落。中東情勢の鎮静化期待などで。79.69ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,113.42ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。26年09月限は16,295元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。26年09月限は530.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2452.32ドル(前日比4.02ドル拡大)、円建てで12,688円(前日比50円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月3日 18時34分時点 6番限)
20,927円/g
白金 8,239円/g
ゴム 411.2円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「『戦時下のレンジ』を維持する原油相場」
前回は、「積み立て:疲れた時には『プラチナ』で」と題して、金(ゴールド)とプラチナ価格の推移について、述べました。

今回は、「『戦時下のレンジ』を維持する原油相場」と題して、NY原油先物価格(2026年 中心限月 日次平均)について、述べます。

中東情勢の動向などを背景に原油相場は目下、「戦時下のレンジ」で推移しています。停戦協議は歴史を変えるには至らず、輸送リスクも依然として残っています。

一方、戦争への懸念を上回る期待が先行し、株価指数は高止まりしています。今後数回にわけ、戦争のきっかけを探り、原油相場の長期的な見通しを展望します。

以下の図のとおり、2026年2月28日に中東情勢が急速に悪化して以降、NY原油先物価格は90ドルを挟んだプラスマイナス20ドル程度の範囲(レンジ)で推移しています。

上昇して110ドルに接近すると、米国経済へのマイナス要因の側面を持つ「米国の利上げ確率の上昇」、広範囲の素材・輸送コストの上昇による「世界経済の悪化懸念」などが上値を抑えます。

下落して70ドルに接近すると、米国経済へのプラス要因の側面を持つ「米国の利上げ確率の低下」、情勢悪化直後の水準に達したことによる「中東リスクの再認識拡大」、などが下値を支える一因になり得ます。

その他、米国の原油在庫(戦略備蓄)が急減していること、将来的にホルムズ海峡を航行できるようになった場合に航行コストが増加する懸念があること、主要産油国が今年11月の会合で協調減産を継続する可能性があることなども、下値を支えていると考えられます。

これが、中東情勢の悪化直後から続く「戦時下のレンジ」が形成されている背景です。長期視点のNY原油先物価格の推移を確認すると、この戦時下のレンジは、長期視点の高値水準にあたります。

戦時下のレンジが続くことは、原油相場が長期視点で高止まりすることを意味します。筆者は、中東情勢を鎮静化させることは大変に困難であるため、当面、このレンジで推移すると考えています。

図:NY原油先物価格(2026年 中心限月 日次平均) 単位:ドル/バレル
図:NY原油先物価格(2026年 中心限月 日次平均) 単位:ドル/バレル
出所:Investing.comのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。