週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比4.04ドル高の64.68ドル、ブレント原油は4.06ドル高の67.96ドルとなった。

 前週末の海外原油は米エネルギー長官がイラン制裁の一環として同国の石油輸出を止める可能性があると述べたことが支えとなった。また、トランプ大統領が電子関連製品を相互関税対象から除外したことが好感された。

 先週はイランとの核交渉が順調に進んだと伝わったことから売り先行で始まったものの、トランプ関税の混乱から落ち着きを取り戻し、週中~週末にかけては堅調な推移となった。中国から輸入される電子機器の除外や、自動車部品の除外が発表されたほか、トランプ大統領が中国の関税交渉を再開できる目途が付いた事を発表したことなどがきっかけとなった模様。中国の原油需要減退の不安が払しょくされブレント原油は60ドル台前半から節目の65ドルを突破した。また、アメリカの製品在庫が取り崩された事や、休日前(イースター)の買い戻しもあり3月の安値68.33ドル手前まで上昇した。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 売られ過ぎの水準は脱したものの、5月からOPECによる増産が始まるほか、トランプ大統領の発言次第で相場が上下する中で先行きは見通しづらく、上値は限定的となりそうか。材料としてはイランの制裁強化や中東の地政学リスク、関税への懸念後退が支援材料となりそうだが、上値は抑えられやすいとみておきたい。テクニカル的にはブレント原油ベースで4月の高値75.47ドル、安値の58.40ドルの半値戻し67ドルを達成したため、次の目標は3月安値の68.33ドルと節目の70ドルが目標となりそうだ。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。