週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比1.00ドル高の60.37ドル、ブレント原油は1.05ドル高の63.31ドルとなった。

 前週末の海外原油はOPECプラス会合を控える中で戻り売り優勢となり上値重い推移となった。

 先週はOPECプラスによる増産やドル高進行したことは重しとなった一方、米中貿易交渉の進展期待などが支援材料となり強弱まちまちな推移となった。週明けはOPECプラス会合において6月から日量41.1万bbl増産することで合意したと伝わったことが嫌気され続落した。翌6日は押し目買いの動きから上昇すると、中国の労働節における連休中の石油需要が旺盛だったと伝わったことが好感されたほか、イスラエルがフーシ派を攻撃したと伝わったことで中東の地政学リスクが高まったことが支援材料となり堅調な推移となった。翌7日はEIA統計において原油在庫は減少した一方、ガソリン在庫が予想以上に増加したことが嫌気されたほか、FOMCを受けてドル高進行したことが重しとなり軟調な推移となった。週末にかけてはトランプ大統領が英国と自動車関税の大幅な引き下げや鉄鋼・アルミニウムの関税撤廃などで合意したと伝わったことからリスクオンムードが高まると、米中の貿易交渉を10日に控える中で貿易戦争への警戒感が後退し反発する動きとなった。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は上値の重い推移が想定されそうか。米英間でトランプ政権の関税政策では初めて合意に至ったことが好感され、他の貿易国とも交渉妥結に向けて進展するとの期待が高まっていることは支援材料となっている。また、イスラエルがフーシ派への攻撃を継続するなど中東の地政学リスクが意識されていることも支えとなっている模様。一方でOPECプラスが6月から日量41.1万bbl増産することで合意し、4~6月の累計で日量96万bblの増産となる見通しと伝わったことで供給過剰懸念が高まっているほか、FOMCを受けて利下げ期待が後退していることからドル高進行していることなどは重しとなっており、上値は抑えられやすそうだ。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。