昨年は各国政府が外貨準備として保有するための金の年間購入量が過去最大になったが、2000年以降各国政府はどのような動きで金を購入してきたかをWorld Gold Councilのデータを使って調べてみた。 これによると、2000年から2019年9月末までの19年9ヵ月の間で最も政府保有金を増やしたのはロシアで、2000年の保有量423トンから19年9月の2,242トンまで、+1,819トン増やしている。2000年代はそれほど買ってはいないが、グラフで見られるように2010年以降に急に毎年大きく買い始めている。 このグラフでもう一つわかるのは、中国も、競うように政府保有金を増やしていることだ。2000年の395トンが2019年9月には1,948トンと、この間に+1,553トン増加している。 第3位はカザフスタンで、2000年の56トンは、2007年末に70トンに増加したが、2013年に144トンと倍増し、その後数十トン単位で毎年購入し、2019年9月末には377トンと+321トンと2000年の6.7倍となっている。カザフスタンは石油の生産増により獲得外貨が増えたことと期を一にしている。 4番目はトルコである。トルコは昔から民間の金の保有量はかなりあったが、米国との関係が悪化し、トルコリラが減価し始めると共に、金の保有を増やしている。2000年にトルコ政府は116トンの金を保有していたが、2016年までその保有量は変っていない。しかし、2017年202トン、2019年9月には386トンとこの3年間で+269トン増加させている。 民間の金保有量が世界一位か二位を占めてきたインドが第5位となる。同国も2000年から2008年までは358トンで変わらず、2009年に一気に+200トン購入し558トンとなり、今年になって618トンまで+60トン購入し、2000年比では+260トン増である。インドは積立型ではなく、スポット購入型である。 6位以下はサウジアラビア、ポーランド、メキシコ、韓国、タイがベストテンに名を連ねている。政府保有金の増加は、ここ数年の傾向であると言えよう。