週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比4.45ドル高の61.46ドル、ブレント原油は5.01ドル高の65.60ドルとなった。

 先週の原油市場は、先週5ヶ月ぶりの安値を付けた流れから一転し、反転/上昇となった。

 米政府機関閉鎖や米中貿易摩擦への懸念が後退し、株式相場が反発するなどリスクオフムードが後退したことが支えとなり、原油も買いを集めた。中国の実質GDPが軟調な内容となったことを受けて石油需要減少への警戒感が高まり反落した場面はあったものの、米国が戦略石油備蓄を100万bbl補充すると伝わったほか、トランプ米大統領がモディ印首相との電話会談でロシアからの原油購入を段階的に停止することに同意したと再度主張したことを支援材料とに値を伸ばした。

 戦略石油備蓄の積み増しも規模が小さく、一過性の材料に留るとの見方もあったものの、EIA統計において原油在庫が予想外に減少し、需給の緩みへの警戒感が後退したことが支援材料となり続伸し、週後半にはトランプ大統領がロシア石油大手ロスネフチとルクオイルへの制裁を発表し、中国やインドのエネルギー企業が代替供給先を模索する可能性があると伝わったことから供給懸念が意識され値位置を切り上げた。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油市場は、地政学的なプレミアム(価格上昇圧力)と、経済の減速懸念や供給過剰の可能性(価格下落圧力)という、相反する要因の綱引きが続く、ボラティリティの高い展開が予想される。米国によるロシア石油大手への制裁強化により、インド・中国がロシアからの購入を停止、削減すれば供給ひっ迫から短期的に価格が押し上げられる可能性がある。一方で、OPECプラスの増産観測、米国の高水準な生産が続いていることから中長期的には供給過剰懸念が強く、上値は抑えられるだろう。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。