[Vol.2273] コモディティアナリストの素朴な疑問

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。78.55ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,413.92ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年09月限は16,905元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。26年09月限は531.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2,657.62ドル(前日比17.52ドル拡大)、円建てで13,910円(前日比75円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月10日 17時11分時点 6番限)
22,713円/g
白金 8,803円/g
ゴム -円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「コモディティアナリストの素朴な疑問」
前回は、「暴力は形を変えながら存在し続けている」と題して、「見える暴力・見えない暴力」と二つの問題、中東情勢との関連について、述べました。

今回は、「コモディティアナリストの素朴な疑問」と題して、米主要三株価指数および原油・銅価格の推移について、述べます。

NYダウが最高値更新をしました、銘柄入れ替えというゲタ、株高を望む人々の期待、期待を増幅させるSNS、株価指数のインフラ化などの側面から考察します。さらに、社会の「光」が株高を、「影」が金(ゴールド)高を促す構造をひもとき、日経平均10万円超が夢物語ではない可能性を探ります。

以下の図は、1986年以降の米国の主要三株価指数と、代表的なコモディティ(国際商品)である原油、銅の価格推移です。2010年1月を100として指数化すると、足元でナスダック総合指数は1,000を大きく超え、S&P500種指数、NYダウも大幅に上昇しています(2026年8月、最高値を更新)。一方、原油と銅は長い期間を経ても、株価指数ほど大きく上昇していません。

銅はしばしば「ドクター・カッパー(Dr. Copper)」と呼ばれます。電線、建物、自動車、機械など、幅広い用途で使われるため、その価格の変化が世界経済の状態を診断する医師のような役割を果たす、という意味です。

原油も同様です。輸送を中心に、製造、発電、石油化学など、現代の経済活動のありとあらゆる場面に関わり、世界の隅々に行き渡っていることから、「経済の血液」であると言えます。銅と原油は、ともに世界の実体経済と深く結び付いているコモディティです。

このように考えれば、コモディティアナリストとして素朴な疑問が湧きます。世界経済を診断する「ドクター・カッパー」と言われる銅と、世界経済を巡る「血液」である原油がこの程度の上昇にとどまっているにも関わらず、なぜ株価指数は、何倍、何十倍という規模で上昇することができたのでしょうか。

もちろん、株式とコモディティは性質が異なるため、単純に比較することはできません。株式には企業利益の成長があり、配当があり、技術革新があります。一方、原油や銅には企業のような利益の成長はありません。

しかし、それだけで、図に見られる圧倒的な差を説明できるのでしょうか。この素朴な問いに答えを出すためには、過去の常識を覆す必要があると、コモディティアナリストである筆者は考えています。

この考え方は、株価指数が過去の常識で説明しにくくなっている、ということを前提にしています。予断を持たずシンプルに、ゼロベースでこの問いに向きあうことで、思いがけない答えが見つけられます。

図:米主要三株価指数および原油・銅価格の推移 (2010年1月を100として指数化)
図:米主要三株価指数および原油・銅価格の推移 (2010年1月を100として指数化)
出所:世界銀行、Investing.comのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。