原油反落。米主要株価指数の反落などで。82.71ドル/バレル近辺で推移。
金反発。ドル指数の反落などで。4,474.47ドル/トロイオンス近辺で推移。
上海ゴム(上海期貨交易所)反発。27年01月限は17,950元/トン付近で推移。
上海原油(上海国際能源取引中心)反発。26年09月限は556.1元/バレル付近で推移。
金・プラチナの価格差、ドル建てで2,691.22ドル(前日比5.02ドル拡大)、円建てで14,178円(前日比22円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。
国内市場は以下のとおり。(8月12日 18時18分時点 6番限)
金 23,142円/g
白金 8,964円/g
ゴム 427.9円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)
●NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成
●本日のグラフ「金融業界『みんなで』株価指数を支える」
前回は、「コモディティアナリストの素朴な疑問」と題して、米主要三株価指数および原油・銅価格の推移について、述べました。
今回は、「金融業界『みんなで』株価指数を支える」と題して、SNSがもたらす社会・経済への影響(一例)について、述べます。
前回、原油や銅と株価指数の長期的な値動きには、大変に大きな差があることを確認しました。この差を生んだ要因の一つに「銘柄入れ替え」が挙げられると筆者は考えています。株価指数は、同じ企業で構成されていません。時代の変化に応じて構成銘柄が入れ替わります。
NYダウを構成する30銘柄を、1975年、2000年、2025年と年別に、セクター別に分類します。1975年は素材が11銘柄と突出し、情報技術、金融、ヘルスケアはゼロでした。
ですが、2025年になると、素材は1銘柄となり、情報技術は6銘柄、金融は5銘柄、ヘルスケアは4銘柄にまで増加しました。50年間で、NYダウの「中身」は大きく変わったのです。
これは、米国経済の変化を反映した結果でもあります。かつて経済成長をけん引した素材や製造業に代わり、IT、金融、ヘルスケアなどの存在感が高まりました。そして株価指数も、その変化を取り込みながら姿を変えてきました。
原油は原油、銅は銅です(だからこそ、コモディティ、国際的な汎用品と言われる)。しかし、1975年のNYダウと2025年のNYダウは、同じ「NYダウ」という名前でありながら、その構成は米国経済の変化を受けて大きく変化しました。
その時代を代表する企業を組み入れ続ける(そうでない企業を外し続ける)ことで、同指数は経済成長への「期待」を維持しやすくなります。つまり、銘柄入れ替えは、上昇を享受しやすくするきっかけになり得るといえます。この仕組みは、株価指数が履く「ゲタ」だといえるでしょう。
主要株価指数には構成銘柄を入れ替える、時代の変化を取り込む「仕組み」があることを確認しました。しかし筆者は、株価指数の長期上昇を支えているのは、仕組みだけではないと考えています。
人間の感情の動きがもたらす思惑(プラスの思惑は期待、マイナスの思惑は懸念)も大きく関わっていると考えられます。筆者が近年、金融業界の著名人たちから実際に聞いた言葉を紹介します。
「株式市場では戦争は終わった」「株価は半年から1年先の思惑を織り込んで動く」「アナリストは芸能人でなければならない」「お客様が読みたいと思うレポートを書こう」「みんなでやっているのだから、弱気は言うな」「株価指数が下がったらみんな困るでしょう?」。いずれも、それぞれの立場や文脈の中で発せられた言葉です。
筆者は、これらを批判的に紹介したいわけではありません。むしろ、株価指数が金融業界だけでなく、社会全体にとって大変に重要な存在であることを示す、重要な言葉だと感じています。
株価が上昇すれば、投資家の資産が増え、企業の資金調達環境が改善し、年金などの運用環境にも追い風になります。逆に大幅に下落すれば、多くの人が困ります。「株価指数には上昇してほしい」という思いを持つ人が多くなるのは、ある意味で自然なことです。
これらの言葉は、株価指数の動向(個別株ではない)がいかに「期待」と「懸念」の影響を受けているのかを、示唆する言葉だともいえます。
こうした状況の中、2010年ごろから、思惑(期待・懸念)を増幅させる装置が、世界的に急速に普及しました。SNSです。以下の図は、SNSが社会を経由して経済に与え得る影響を整理した資料です。
SNSでは怒りや不満が瞬時に共有され、「待てない」「複雑な説明より分かりやすい説明を好む」「見たいものだけを見る」「感覚を優先する」といった行動が目立ちやすくなります。
もちろん、SNSには情報共有を容易にし、これまで届かなかった声を社会に届けるという大きな利点があります。一方で、その即時性は社会に「早く結果を出してほしい」という圧力を強めています。
この変化は経済政策と無関係ではありません。物価が上昇すれば、給付、減税、補助金を求める声が大変に強まります。景気が悪化すれば、今すぐの景気対策を求められます。格差への不満が高まれば、再分配を求められます。株価が不安定化すれば、金融・財政政策による対応への期待が膨張します。
時間をかけた構造改革よりも、短期間で効果を実感しやすく、政策が支持を得やすい環境が形成されているといえます。政治家も逆に「待ったなし」と述べています。
金融業界が意図的に株価を押し上げている、と述べているのではありません。金融機関、企業、投資家、政府、そして有権者は、それぞれ異なる目的で行動しています。それでも結果として、「できるだけ株価指数は上昇してほしい」という方向で思惑が一致しやすいといえます。
銅や原油では、このようなことはありません。価格が下落しても、社会「全体」が「銅価格を上げよう」「原油価格を最高値に戻そう」と考えることはありません。大まかに言えば社会の半分は、銅や原油の需要家、消費者だからです。
先述の「銘柄入れ替え」という「ゲタ」の仕組みに、こうしたに人間の思惑(期待・懸念)が重なっていることが、銅や原油では考えられない株価指数の上昇を実現している一因であると、筆者は考えています。
そしてSNSが社会のあり方を大きく変え始めた2010年ごろ以降、この思惑の影響はさらに強まったといえます。
図:SNSがもたらす社会・経済への影響(一例)

出所:各種資料を基に筆者作成
金反発。ドル指数の反落などで。4,474.47ドル/トロイオンス近辺で推移。
上海ゴム(上海期貨交易所)反発。27年01月限は17,950元/トン付近で推移。
上海原油(上海国際能源取引中心)反発。26年09月限は556.1元/バレル付近で推移。
金・プラチナの価格差、ドル建てで2,691.22ドル(前日比5.02ドル拡大)、円建てで14,178円(前日比22円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。
国内市場は以下のとおり。(8月12日 18時18分時点 6番限)
金 23,142円/g
白金 8,964円/g
ゴム 427.9円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)
●NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成
●本日のグラフ「金融業界『みんなで』株価指数を支える」
前回は、「コモディティアナリストの素朴な疑問」と題して、米主要三株価指数および原油・銅価格の推移について、述べました。
今回は、「金融業界『みんなで』株価指数を支える」と題して、SNSがもたらす社会・経済への影響(一例)について、述べます。
前回、原油や銅と株価指数の長期的な値動きには、大変に大きな差があることを確認しました。この差を生んだ要因の一つに「銘柄入れ替え」が挙げられると筆者は考えています。株価指数は、同じ企業で構成されていません。時代の変化に応じて構成銘柄が入れ替わります。
NYダウを構成する30銘柄を、1975年、2000年、2025年と年別に、セクター別に分類します。1975年は素材が11銘柄と突出し、情報技術、金融、ヘルスケアはゼロでした。
ですが、2025年になると、素材は1銘柄となり、情報技術は6銘柄、金融は5銘柄、ヘルスケアは4銘柄にまで増加しました。50年間で、NYダウの「中身」は大きく変わったのです。
これは、米国経済の変化を反映した結果でもあります。かつて経済成長をけん引した素材や製造業に代わり、IT、金融、ヘルスケアなどの存在感が高まりました。そして株価指数も、その変化を取り込みながら姿を変えてきました。
原油は原油、銅は銅です(だからこそ、コモディティ、国際的な汎用品と言われる)。しかし、1975年のNYダウと2025年のNYダウは、同じ「NYダウ」という名前でありながら、その構成は米国経済の変化を受けて大きく変化しました。
その時代を代表する企業を組み入れ続ける(そうでない企業を外し続ける)ことで、同指数は経済成長への「期待」を維持しやすくなります。つまり、銘柄入れ替えは、上昇を享受しやすくするきっかけになり得るといえます。この仕組みは、株価指数が履く「ゲタ」だといえるでしょう。
主要株価指数には構成銘柄を入れ替える、時代の変化を取り込む「仕組み」があることを確認しました。しかし筆者は、株価指数の長期上昇を支えているのは、仕組みだけではないと考えています。
人間の感情の動きがもたらす思惑(プラスの思惑は期待、マイナスの思惑は懸念)も大きく関わっていると考えられます。筆者が近年、金融業界の著名人たちから実際に聞いた言葉を紹介します。
「株式市場では戦争は終わった」「株価は半年から1年先の思惑を織り込んで動く」「アナリストは芸能人でなければならない」「お客様が読みたいと思うレポートを書こう」「みんなでやっているのだから、弱気は言うな」「株価指数が下がったらみんな困るでしょう?」。いずれも、それぞれの立場や文脈の中で発せられた言葉です。
筆者は、これらを批判的に紹介したいわけではありません。むしろ、株価指数が金融業界だけでなく、社会全体にとって大変に重要な存在であることを示す、重要な言葉だと感じています。
株価が上昇すれば、投資家の資産が増え、企業の資金調達環境が改善し、年金などの運用環境にも追い風になります。逆に大幅に下落すれば、多くの人が困ります。「株価指数には上昇してほしい」という思いを持つ人が多くなるのは、ある意味で自然なことです。
これらの言葉は、株価指数の動向(個別株ではない)がいかに「期待」と「懸念」の影響を受けているのかを、示唆する言葉だともいえます。
こうした状況の中、2010年ごろから、思惑(期待・懸念)を増幅させる装置が、世界的に急速に普及しました。SNSです。以下の図は、SNSが社会を経由して経済に与え得る影響を整理した資料です。
SNSでは怒りや不満が瞬時に共有され、「待てない」「複雑な説明より分かりやすい説明を好む」「見たいものだけを見る」「感覚を優先する」といった行動が目立ちやすくなります。
もちろん、SNSには情報共有を容易にし、これまで届かなかった声を社会に届けるという大きな利点があります。一方で、その即時性は社会に「早く結果を出してほしい」という圧力を強めています。
この変化は経済政策と無関係ではありません。物価が上昇すれば、給付、減税、補助金を求める声が大変に強まります。景気が悪化すれば、今すぐの景気対策を求められます。格差への不満が高まれば、再分配を求められます。株価が不安定化すれば、金融・財政政策による対応への期待が膨張します。
時間をかけた構造改革よりも、短期間で効果を実感しやすく、政策が支持を得やすい環境が形成されているといえます。政治家も逆に「待ったなし」と述べています。
金融業界が意図的に株価を押し上げている、と述べているのではありません。金融機関、企業、投資家、政府、そして有権者は、それぞれ異なる目的で行動しています。それでも結果として、「できるだけ株価指数は上昇してほしい」という方向で思惑が一致しやすいといえます。
銅や原油では、このようなことはありません。価格が下落しても、社会「全体」が「銅価格を上げよう」「原油価格を最高値に戻そう」と考えることはありません。大まかに言えば社会の半分は、銅や原油の需要家、消費者だからです。
先述の「銘柄入れ替え」という「ゲタ」の仕組みに、こうしたに人間の思惑(期待・懸念)が重なっていることが、銅や原油では考えられない株価指数の上昇を実現している一因であると、筆者は考えています。
そしてSNSが社会のあり方を大きく変え始めた2010年ごろ以降、この思惑の影響はさらに強まったといえます。
図:SNSがもたらす社会・経済への影響(一例)

出所:各種資料を基に筆者作成
