ほとんど減っていない!?非常事態宣言発令時の世界の石油消費量

原油
著者:吉田 哲
原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反発などで。52.95ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年産利回りの反落などで。1,578.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)、上海原油(上海国際能源取引中心)は春節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで576.9ドル(前日終値比20.05ドル拡大)、円建てで2,043円(前日終値比99円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(1月27日 15時43分頃 先限)
 5,534円/g 白金 3,491円/g 原油 37,370円/kl
ゴム 174.0円/kg とうもろこし 23,950円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「ほとんど減っていない!?非常事態宣言発令時の世界の石油消費量」

前回は「米シェール“数”の面で鈍化が鮮明に」として、米シェール主要地区における開発関連指標の状況を確認しました。

今回は「ほとんど減っていない!?非常事態宣言発令時の世界の石油消費量」として、新型コロナウィルス拡大に関連し、過去、WHO(世界保健機関)が発令した非常事態宣言した時期の、世界の石油消費量に注目します。

報道によれば、WHOは過去に5回、非常事態宣言を発令しています。

WHOが発令する非常事態宣言とは、感染症が国をまたいだ公衆衛生を阻害する危機に発展し、速やかに国際的な対応が求められる時に、WHOの事務局長が加盟国に対して行う宣言です。

過去の5回とは以下です。
2009年4月:新型(当時)インフルエンザ
2014年5月:ポリオ
2014年8月:エボラ出血熱(西アフリカで拡大)
2016年2月:ジカ熱
2019年7月:エボラ出血熱(アフリカ中部で拡大)

いまのところ、今回の新型ウィルス拡大に対して非常事態宣言は発令されていませんが、今週から来週初めのいずれかのタイミングでWHOの会合が開かれ、発令される可能性があります。

また、1月20日に米大手金融機関が、今回の新型ウィルスの拡大によって、2020年の世界の石油消費量が減少すると指摘しています。

米大手金融機関は、今回のウィルスによる影響が大規模になものになることを想定しているとみられます。

ただ、以下のグラフのとおり、影響が世界規模になりWHOが非常事態宣言を発令した過去5つの例のタイミングでは、ほとんど世界の石油の消費が減少していないことがわかります。

米大手金融機関だからまことしやかに聞こえる情報でも、冷静に受け止めることが必要です。

次回以降、米大手金融機関が指摘した世界の石油消費量の減少量である“日量26万バレル”について確認します。

図:WHOの過去5回の非常事態宣言と世界の石油消費量の推移
単位:百万バレル/日量
WHOの過去5回の非常事態宣言と世界の石油消費量の推移

出所:各種報道、EIA(米エネルギー省)などのデータより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 1977年生まれ。大学卒業後、コモディティ業界に入る。2007年からコモディティアナリストとして商品の個別銘柄分析や情報配信を担当。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。楽天証券ウェブサイトにレポート「週刊コモディティマーケット」を掲載(毎週金曜更新)。各種メディアでも独自の視点を織り交ぜながら関連情報を幅広く配信している。