原油相場が反発色を強めるための条件とは!?

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。51.08ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,571.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年05月限は11,040元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年03月限は397.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで587.8ドル(前日比23.9ドル縮小)、円建てで2,061円(前日比34円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(2月4日 18時37分頃 先限)
 5,492円/g 白金 3,431円/g 原油 36,490円/kl
ゴム 177.7円/kg とうもろこし 23,600円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「原油相場が反発色を強めるための条件とは!?」

今回は「原油相場が反発色を強めるための条件とは!?」として、一時、50ドルを割った原油相場が本格的に反発するための条件について考えます。

アメリカでも感染者が増えている、医療が先進国ほど浸透していないアフリカを起点に感染地域が拡大する可能性がある、などの報道をもとに考えれば、感染の“範囲”はこれからも拡大する可能性があります。

また、感染地域が拡大すれば、それだけ終息までの“期間”が長くなることも予想されます。

範囲、期間など、感染の程度を示す指標はまだこれからも悪化する可能性があります。

状況を予想することが困難な中ではあるものの、急落した原油相場は、何をきっかけとして反発色を強めるのでしょうか?

筆者は現段階で、次の3つの条件がそろった場合、と考えています。

①.ウィルスの発生地である中国の主要株価指数の一つ“上海総合指数”が明確な反発基調となること。

②.①により、他のアジア諸国、欧米の株価指数も回復基調になること。

③.OPECプラスが、報じられているとおり緊急会議を開き“現状追認ではない” 減産強化を即時に実施すること。

まずは何よりも、中国国内外の株価指数が明確な反発基調になることが重要ですが、これに加え、③のとおりOPECプラスの動向も重要な要素だと考えています。

以下は、2月1日に海外主要メディアが公表したOPEC加盟国の減産順守率です。

個別でみれば、減産どころか増産をしている国や、減産を順守していない(減産順守率100%未満)国もあります。

対象となる減産を実施しているOPEC加盟国10カ国全体では133%と、予定されている削減量の1.33倍の削減をしています。

緊急会合か開催されたとして、OPECプラスが真の意味で原油価格を上昇させたいのならば、実質的な“現状追認でない”減産強化の決定と実施が必要です。

次回以降、減産の“現状追認”について書きます。

図:OPEC加盟国の2020年1月の減産順守率


出所:海外主要メディアのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。