新型コロナウィルスと金価格 その3

著者:近藤 雅世
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 新型コロナウィルスが商品価格に対して様々な影響を及ぼしている。金価格の場合は、セーフヘイブンの買いもあり、12月以降上昇し1,550ドルを超えているが、先行きは予断を許さない。というのも、中国において金の地金や宝飾品の売り上げが激減しているためだ。大手貴金属商は、書き入れ時の春節に金がほとんど売れなかったようだ。中国国内の宝飾品店はこれまでの間に、ウィルスの感染を恐れて店舗の開店時間を短縮し従業員の出社を減らしているようである。2019年の中国の金の需要は前年比▲7%減であったが、今年も更に相当な減少になるだろうと言われている。金のドル建て価格が堅調なことも金の需要を削減している。

 2010年から昨年までの金の価格と金の需要は0.81の正の相関関係にあり、グラフ『金の需要と価格』が示す通り、金の需要が減少すると金価格は下がる性質がある。

 ティファニーに次いで世界第二位の宝石商の香港の『周大福』は香港のデモの影響もあり、現在15店舗を閉鎖しているという。また、宝飾品を製造する工場は中国国内にあるが、従業員の3割程度が出社しておらず、生産が滞っているという。宝飾業者等で組織する香港の宝飾品販促団体The Hong Kong Jewelry Manufacturers' Associationのチェアマン、Benny Do氏は、香港の宝飾品の売り上げは前年に比べて7割以上は減少するだろうと述べている。
 

 

 

 

このコラムの著者

近藤 雅世(コンドウ マサヨ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンスを設立。代表取締役社長就任。
毎週月曜日週刊ゴールド、火曜日週刊経済指標、水曜日週刊穀物、木曜日週刊原油、金曜日週刊テクニカル分析と週間展望、月二回のコメを執筆。
毎週月曜日夜8時YouTubeの「Gold TV Net」で金と原油について動画で解説中(月一回は小針秀夫氏)。
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