OPEC減産拡大、効力は公表値の70%未満か

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。45.17ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,674.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年05月限は10,900元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年05月限は357.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで809.9ドル(前日終値比7.6ドル拡大)、円建てで2,740円(前日終値比26円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(3月6日 17時13分頃 先限)
 5,680円/g 白金 2,940円/g 原油 32,700円/kl
ゴム 168.4円/kg とうもろこし 23,320円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OPEC減産拡大、効力は公表値の70%未満か」

今回は「OPEC減産拡大、効力は公表値の70%未満か」として、日本時間の昨晩に行われた第178回OPEC総会(臨時)が、今晩の第8回OPEC・非OPEC閣僚会議に勧告することを決めた、2020年末まで、現在よりも減産を日量150万バレル強化すること、について書きます。

OPECのウェブサイトの情報によれば、日量150万バレルのうち、100万バレルをOPEC側が、残りの50万バレルを非OPEC側が、追加分の削減を担当することになっています。

今晩の会合で今回の一連の会合の結論が出るため、まだ日量150万バレルの追加削減も(内訳を含め)、2020年末までの延長も、決定ではありません。

仮に、昨晩の会合の内容がそのまま決定事項になった場合、OPEC側は追加で年末まで、日量100万バレルを削減することになります。

この日量100万バレルの追加については、以下のとおり、2月時点の生産量に比べて、日量およそ68万バレルを削減するだけで減産順守が達成できる計算になります。

もともと、OPECは目標を超えた削減をしていたためです。この余剰削減分を考慮すれば、実際のところ、100万バレルの70%弱にあたる68万バレルで減産順守ができるわけです。

日量150万バレルは過去最大規模の減産である旨の報道も散見されますが、実態はそこまで大きな規模ではない可能性があります。

また、新型コロナウィルスの感染拡大の影響によって、世界の石油の消費量が減少することはほぼ間違いないとみられます。

このため、今回の削減幅拡大は、消費が減少することを想定した、つまり、モノ余りが発生しないようにするために削減幅を拡大する、という意味が含まれていると考えられます。

150万、過去最大規模、という言葉に惑わされないようにしなければなりません。

図:余剰削減分を用いた現状追認の減産強化のイメージ


出所:OPECの資料をもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。