OPEC減産終了の主因を具体的に説明

原油
著者:吉田 哲
原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。33.53ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,659.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年05月限は10,700元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年05月限は307.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで782.75ドル(前日比30.15ドル縮小)、円建てで2,611円(前日比5円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(3月10日 19時25分頃 先限)
 5,568円/g 白金 2,957円/g 原油 25,320円/kl
ゴム 166.7円/kg とうもろこし 23,070円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OPEC減産終了の主因を具体的に説明」

今回は「OPEC減産終了の主因を具体的に説明」として、OPEC・非OPECの閣僚会議での協議が決裂した背景について報じられている“サウジのシェールたたき”について、具体的にグラフで説明します。

以下のグラフは、主要産油国と米シェール主要地区の原油生産量の推移を示したものです。

点線で赤枠をした2カ所は、米国全体あるいは米シェ―ル主要地区の原油生産量とサウジの原油生産量が肉薄した箇所です。

1カ所目は、程なくして、米国全体の原油生産量が減少し、サウジの原油生産量との差が開きました。これは、おおむねサウジの生産シェアが回復したことを意味します。

米国の原油生産量が減少したのは、“逆オイルショック”と報じられた原油価格の急落・低迷が、直接的な原因です。

その逆オイルショックを起こしたのは、サウジをはじめとしたOPECが当時、急落途中だった原油相場を下支えをすることを放棄した、具体的には、減産実施を見送ったことが原因です。

これにより、比較的高コストの米シェールは開発の中断を余儀なくされ、やがて米国の原油生産量は減少しはじめました。

2カ所目、つまり今ですが、今度は米シェール主要地区の原油生産量がサウジに肉薄しています。

サウジドローン事件で生産量が急減した2019年9月は統計上、サウジの生産量を米シェール単体で、上回っていました。

肉薄する米シェールを引き離し、シェアを維持・回復させるためにどうするのか?

逆オイルショックの経験から、人為的に原油相場を急落させ(今回の場合は減産中止)、肉薄する米シェールを引き離す、そして来月から堂々と増産ができるため、サウジは大増産を行えば、米シェールを引き離すどころか、米国全体の生産量にも追いつく可能性もあります。

米シェールの原油生産量がサウジに肉薄したため、これを引き離すために、今回の減産終了が行われたと筆者は考えています。

図:米国、サウジ、ロシアおよび米シェール主要地区の原油生産量
単位:百万バレル/日量


出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 1977年生まれ。大学卒業後、コモディティ業界に入る。2007年からコモディティアナリストとして商品の個別銘柄分析や情報配信を担当。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。楽天証券ウェブサイトにレポート「週刊コモディティマーケット」を掲載(毎週金曜更新)。各種メディアでも独自の視点を織り交ぜながら関連情報を幅広く配信している。