週刊石油展望

著者:三浦 良平
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比13.21ドル安の32.31ドル、ブレント原油は17.69ドル安の31.85ドルとなった。

 前週末の海外原油は前日のOPEC総会で合意した150万バレルの減産で合意できなかったことが嫌気され大きく売られる展開となった。また、直近安値を下回ったことからテクニカル的な売りも入り一代安値を更新した。

 先週はOPECプラスの会合においてロシア側の協力拒否により減産協議が決裂となると、2016年12月から続い た原油価格維持のための協調体制が崩壊し、週明けにかけて原油価格は大暴落。また、交渉の決裂によってサウジがすべての仕向け地を対象に4月積みの全油種の公式販売価格を引き下げたことや、現状日量970万B程度の生産を1200万B近くまで増産すると示唆したことでさらに下げ幅を拡大すると、WTIベースで約4年ぶりとなる20ドル台まで下落した。大暴落後は自律反発の動きや、トランプ大統領の減税発言を受けて株式市場が上昇したことに支えられた。また、米エネルギー大手のオクシデンタル・ペトロリウムなどが設備投資を削減すると発表したことで、過去最高水準にある米原油生産量が減少に向かうとの期待感が高まったことも好感された。ただし買い一巡後は再び下落に転じると、週末にかけてはサウジに続きアラブも増産する方針を示したことや、米国が欧州からの渡航禁止を決定したことで石油需要の一層の下振れが懸念される格好となったことが嫌気され軟調な推移となった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。