2月に比べ、3月はどれだけ世界の石油の消費が落ち込むのか!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。主要株価指数の反発などで。23.12ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,479.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年09月限は9,960元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年05月限は229.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで871.7ドル(前日比1.2ドル縮小)、円建てで3,041円(前日比64円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(3月19日 19時15分頃 先限)
 5,165円/g 白金 2,124円/g 原油 23,430円/kl
ゴム 154.9円/kg とうもろこし 23,020円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「2月に比べ、3月はどれだけ世界の石油の消費が落ち込むのか!?」

今回は「2月に比べ、3月はどれだけ世界の石油の消費が落ち込むのか!?」として、EIA(米エネルギー省)が毎月公表する短期見通しをもとに、1月から3月までの各月に公表された同統計内の世界の石油消費量を比較し、3月の世界の石油消費の実績値が、見通しに比べてどれだけ落ち込みそうかを考えます。

以下のグラフのとおり、3月の統計で公表された2月の実績値は、2月の統計で示された2月の見通しよりも、低い値でした。(赤の下向き実線矢印)

2月の統計は1月10日ごろから2月10日ごろにかけて作成されているとみられます。この時期はまだ、新型コロナウイルスの感染拡大が主に中国で起きていたころです。

つまり、まだ“パンデミック(世界規模の感染拡大)”前の環境をもとに作成されたものとみられます。

また、3月の統計は、2月10日ごろから3月10日ごろにかけて作成されているとみられます。

WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスを“パンデミック相当”と言及したのが、3月11日だったことから、3月の統計は、ジャンルを問わず幅広い市場で記録的な下落が発生したり、各国の当局が協調して金融・財政の両面で大規模な策を講じたり、国家間で人の往来の制限が実施されたりする前に作成されたと考えられます。

このように考えれば、4月の統計で公表される3月の実績値は、3月の統計で公表された3月の見通しよりも、程度を想像することは難しいですが、大幅に低い値になる可能性があります。(赤の下向き点線矢印)

ただ一方で、1月から3月の統計、いずれにおいても、消費は秋に向かって回復する、という見通しは変わっていません。

4月の統計は、4月7日(火)に公表されます。足元の実績値、そして数カ月後の見通し、両方に注目したいと思います。

図:世界の石油消費量の実績値と見通し(EIAのデータより)
単位:百万バレル/日量
世界の石油消費量の実績値と見通し(EIAのデータより)

出所:EIAのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。