米シェールの地区別の生産効率に注目

著者:吉田 哲
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原油反落。主要株価指数の反落などで。22.52ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,625.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年09月限は9,700元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年06月限は255.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで888.7ドル(前日比25.4ドル縮小)、円建てで3,094円(前日比13円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(3月27日 18時45分頃 先限)
 5,644円/g 白金 2,550円/g 原油 24,400円/kl
ゴム 149.1円/kg とうもろこし 23,150円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「米シェールの地区別の生産効率に注目」

前回は「米シェールの“生産効率”を維持するために必要なこと」として、シェール主要地区の生産効率の“質”の面に注目しました。

今回は「米シェールの地区別の生産効率に注目」として、前回述べた生産効率である“質”について、主要地区7地区の違いについて書きます。

米エネルギー省(EIA)は、以前の「米シェール主要地区の位置」で述べた通り、全米に7つ、シェールの主要地区があると提唱しています。

シェールの生産量等の状況によって、追加や統合など、主要地区が変動することがあります。

原油生産量で言えば、パーミアン地区が最も多いのですが(2月時点で同地区だけで日量471万バレル)、以下のグラフのとおり、生産効率である“質”で見れば、同地区は7地区中4位です。ややもすれば現在5位のアナダルコ地区に追い抜かれそうです。

生産効率である“質”が最も高いイーグルオフォードの原油生産量は、日量135万バレルで3位です。

つまり、生産効率である“質”は、原油生産量を増減させる変動要因の一つでしかなく、原油生産量の動向を考える上では、質に対する要素である数、“油井の数”も、同時に考慮する必要があるわけです。

このことはまた、“稼働リグ数”だけでは原油生産量の動向を知ることができないことを示しています。“稼働リグ数”は“油井の数”に深く関わる要素だからです。

主要地区とは言え、日量100バレル程度の地区と、1000バレルを超える地区があるため、実態に迫るためには、地区別の事情を知る必要があります。

次回以降、米シェールの地区別の詳細な状況について考察していきたいと思います。

図:米シェール主要地区の新規1油井あたりの原油生産量(主要7地区別)
単位:バレル/日量


出所:米エネルギー省(EIA)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。