原油市場、上昇要因は“期待”、下落要因は“懸念”+“実態”

著者:吉田 哲
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原油反落。主要株価指数の反落などで。22.95ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,691.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は10,140元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年06月限は242.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで892.7ドル(前日比20.8ドル縮小)、円建てで3,202円(前日比17円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(4月20日 19時24分頃 先限)
 5,790円/g 白金 2,588円/g 原油 23,930円/kl
ゴム 154.8円/kg とうもろこし 22,900円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「原油市場、上昇要因は“期待”、下落要因は“懸念”+“実態”」

前回は「原油相場が“世界協調減産合意”でも急騰しない理由④」として、OPECプラスが協調減産を実施することを決定したのにも関わらず、原油価格が急騰していないことについて述べました。

今回は、足元の原油相場の環境の全体像を確認します。

以下は、筆者が考えている、足元の原油相場の環境です。上昇要因、下落用意の両方が存在することがわかります。

全体的には、上昇要因は思惑・期待先行の面が強いとみられます。やってくれそう、期待できそう、消費も増加する? 困難な条件が解消する? などです。希望的観測の要素を含んでいるとみられます。

一方、下落要因は思惑・懸念に関わる要素もありますが“実態”が伴っています。その実態とは“日量1500万バレルをはるかに超える規模で消費が減少した事実”です。

また、下落要因の中の思惑(懸念)を強める要素と、上昇要因の中の思惑(期待)を弱める要素が存在することにも注意が必要です。

ロシアが減産を順守しない可能性があること、20ドル台の原油価格を肯定する思惑が存在する可能性があることは、懸念を強める要素といえます。

米シェール主要地区の原油生産量の想定される減少量が、日量100万バレル程度と小規模になる可能性があることは、期待を薄める要素といえます。

まずは、できるだけ材料を俯瞰し、状況を把握することが重要だと筆者は考えています。

図:原油相場の足元の環境(イメージ)
原油相場の足元の環境(イメージ)

出所:筆者推計

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。