原油の現物価格も、一時マイナス入りしていた

原油
著者:吉田 哲
原油反落。主要株価指数の反落などで。18.62ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,687.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)、労働節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心)、労働節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで903.35ドル(前日比22.15ドル拡大)、円建てで3,202円(前日比11円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(5月1日 19時40分頃 先限)
 5,768円/g 白金 2,566円/g 原油 21,650円/kl
ゴム 148.5円/kg とうもろこし 21,850円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「原油の現物価格も、一時マイナス入りしていた」

前回は「米国の原油在庫、あと800万バレルで統計史上最高」として、昨日、EIA(米エネルギー省)が公表した週間石油統計から、米国全体の原油在庫について述べました。

今回は「原油の現物価格も、一次マイナス入りしていた」として、4月29日(水)にEIA(米エネルギー省)が公表した統計から、クッシング(オクラホマ州)のWTI原油と、ブレント原油の現物価格(Spot Price)について書きます。

Spot取引(スポット取引)は、長期的な現物調達を前提とし、一定期間先まで現物を確保しておく場合に利用される先物取引の対義語です。

簡単に言えば、Spot取引は、その時の情勢に応じ、現物を融通するために行われる当事者間の取引のことです。

つまりSpot価格は、Spot取引において当事者間で決定した価格です。

この場合の当事者、つまり、原油の現物を取り扱う業者は、常日頃から、効率の良い原油の安定供給・確保のため、先物市場と現物市場の両方を用いています。

このため、先物市場の最も期限が短い“期近限月”とスポット価格は非常に似通った価格になります。

以下のグラフとおり、WTI原油先物市場で期近限月(当時の2020年5月限)がマイナス価格になった4月20日(月)、WTIの主要集積地であるオクラホマ州のクッシング地区のWTI原油のスポット価格がマイナス36.98ドルをつけました。

この日のWTI原油先物の2020年5月限の終値がマイナス37.63ドルであり、この価格に近い、つまり、先物の期近限月の価格とスポット価格が似通る、原則に基づいた現象が起きたわけです。

先述の通り、スポット価格は、その時の情勢に応じて、現物を融通するために当事者同士が決めた価格であるため、実際に、マイナス価格で現物の売買が行われたと考えられます。

また、先物価格同様、ブレント原油のスポット価格はマイナスに陥っていません。

図:クッシングWTI原油と北海ブレン原油スポット価格の推移
単位:ドル/バレル
クッシングWTI原油と北海ブレン原油スポット価格の推移

出所:EIA(米エネルギー省)のデータより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 1977年生まれ。大学卒業後、コモディティ業界に入る。2007年からコモディティアナリストとして商品の個別銘柄分析や情報配信を担当。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。楽天証券ウェブサイトにレポート「週刊コモディティマーケット」を掲載(毎週金曜更新)。各種メディアでも独自の視点を織り交ぜながら関連情報を幅広く配信している。