削減量維持よりも、“ヤミ増産ストッパー”が付いたことが重要

原油
著者:吉田 哲
原油反落。主要株価指数の反落などで。37.89ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,725.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年09月限は10,585元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年07月限は286.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで875.8ドル(前日比14.5ドル拡大)、円建てで3,050円(前日比20円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(6月10日 19時24分頃 先限)
 5,932円/g 白金 2,882円/g 原油 27,910円/kl
ゴム 162.8円/kg とうもろこし 22,750円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「削減量維持よりも、“ヤミ増産ストッパー”が付いたことが重要」

前回は「強化ではなく維持!?わかれる減産合意の評価」として、2020年4月12日(日)に行われた第10回OPEC・非OPEC閣僚会議での合意事項を確認しました。

今回は「削減量維持よりも、“ヤミ増産ストッパー”が付いたことが重要」として、6月6日(土)に行われた第11回OPEC・非OPEC閣僚会議での合意事項を確認します。

前回述べた削減量の件以外に、今回の会合の合意事項の注目すべき点は、以下の2-ⅱの“埋め合わせの概念”が導入されたことだと考えています。

5月と6月に減産を順守できなかった国は、7、8、9月の3カ月間、順守できなかった量を、上乗せして、減産を実施することとなりました。

5月と6月に、削減をしたものの、予定した削減量に達しなかった、あるいは、逆に増産をした場合、その国自らが、9月までに埋め合わせをしなくてはなりません。

今回の会合で、かつて一部で横行した“ヤミ増産”をストップする施策が盛り込まれたわけです。

減産実施は原油相場の上昇に拍車をかける要因になり得ます。産油国は、減産を実施しながら(石油収入の一部を放棄しながら)、原油相場の上昇という単価の上昇の恩恵を享受するわけです。

これまでは、苦労をしながら減産を順守する国がある一方で、ヤミ増産を行う国も存在しました。

ヤミ増産を行う国は、同じ組織の一員でありながら、順守する国の苦労によって実った原油価格の上昇という果実を、ただでついばむ“フリーライダー(ただ乗りをする国)”です。

6月6日の合意内容は、「ヤミ増産をさせない」、「フリーライダーをゆるさない」ことを意図しているとみられ、各国が減産を順守することを強く重んじる合意内容と言えます。

また、各国が、減産順守を確実に行うことが前提であるため、ゆとりがある国がそうでない国に代わって減産を行う「肩代わり」も認められない内容だと言えます。

図:2020年6月6日(土)に行われた第11回OPEC・非OPEC閣僚会議での合意事項


出所:OPECの資料から筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 1977年生まれ。大学卒業後、コモディティ業界に入る。2007年からコモディティアナリストとして商品の個別銘柄分析や情報配信を担当。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。楽天証券ウェブサイトにレポート「週刊コモディティマーケット」を掲載(毎週金曜更新)。各種メディアでも独自の視点を織り交ぜながら関連情報を幅広く配信している。