サウジが自主減産をやめたわけ

著者:吉田 哲
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原油反落。主要株価指数の反落などで。38.30ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,740.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年09月限は10,545元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年07月限は281.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで889.55ドル(前日比14.85ドル拡大)、円建てで3,085円(前日比12円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(6月11日 18時53分頃 先限)
 5,952円/g 白金 2,867円/g 原油 27,510円/kl
ゴム 158.5円/kg とうもろこし 22,440円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「サウジが自主減産をやめたわけ」

前回は「削減量維持よりも、“ヤミ増産ストッパー”が付いたことが重要」として、6月6日(土)のOPECプラスの会合について書きました。

今回は「サウジが自主減産をやめたわけ」として、先月末から今月にかけて複数の機関が公表した5月の原油生産量のデータをもとに推計される、OPEC側の、7月から3カ月間で埋め合わせをしなければならない削減量について書きます。

先月末から今週火曜日にかけて、海外主要メディア2社、EIA(米エネルギー省)が、5月のOPECの原油生産量を公表しました。

以下の表は、これらの3つのデータを平均値から推計される、5月の減産順守率と、5月に発生した7月から9月の3カ月間で埋め合わせをしなければならない(上乗せして削減しなければならない)量を示しています。

前回述べたとおり、6月6日(土)のOPECプラスの会合で、5月と6月に減産を順守できなかった国は、7、8、9月の3カ月間、順守できなかった量を、上乗せして、減産を実施することになっています。

6月も、減産を順守できなければ、同じ7、8、9月の3カ月間に、順守できなかった量を、さらに、上乗せする(埋め合わせる)必要があります。

来週公表される、OPEC月報やIEA(国際エネルギー機関)の月次レポートも、注目する必要がありますが、現時点で、どの国が、何万バレル、埋め合わせをしなければならないか、おおむね明確になったと考えられます。

合意内容には、埋め合わせを行うのは、5月と6月に減産を順守できなかった“各国”と、明記されています。つまり、誰かが多めに減産をして、順守できていない国の肩代わりをすることは、認められません。

よって、2017年1月に始まり今年3月に終了した協調減産で、孤軍奮闘し“全体的な”減産順守率の上昇に貢献したサウジは、今回、誰かの肩代わりをすることが、ルール上、できなくなったため、自主減産をやめることになったのだと考えられます。

図:OPEC内減産実施10カ国の5月の減産順守率と7月から3カ月以内に上乗せして削減する量
OPEC内減産実施10カ国の5月の減産順守率と7月から3カ月以内に上乗せして削減する量

出所:海外主要メディア2社とEIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。