週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.96ドル高の39.31ドル、ブレント原油は4.32ドル高の41.99ドルとなった。

 前週末の海外原油は、米国の一部の州で新型コロナウィルスの感染者数が拡大するなど、感染第2波への懸念が強まったことからリスク回避ムードが広がり小幅に続落した。

 先週は新型コロナウイルスの感染第2波への懸念が嫌気される一方、各国の金融緩和策への期待感や好調な経済指標に支えられ堅調な推移となった。週明けはFRBが米企業の社債買い入れ開始すると発表したことからドル安・株高が進行し、原油も支えられる格好となった。翌16日はトランプ大統領が景気刺激策として1兆ドル規模のインフラ計画を準備していると報じられたことや、米小売売上高が好調な内容だったことに支えられ堅調な推移となった。また、IEAが今年の需要見通しを上方修正したことも好感された。ただし上値では戻りを売られると、引け後に発表のあったAPI統計で原油在庫が予想外に増加していたことから上げ幅を縮小した。翌17日はAPI統計同様にEIA統計でも原油在庫が増加し、過去最高水準を記録したことが嫌気されたほか、中南米や米国の一部の州でコロナウイルスの新規感染者数が拡大していることから、感染第2波への警戒感が強まり軟調な推移となった。週末にかけては押し目を買われる形で反発すると、OPECプラスによる共同閣僚監視委員会のオンライン会合において、減産順守率100%を目指した取り組みを続けると表明されたことが好感された。また、製造業等の米景況指数が急回復していることや、米原油生産の減少なども支えとなった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。