続、米国の製油所への原油の投入量は“二番底”を打った!?

著者:吉田 哲
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原油反発。主要株価指数の反発などで。40.61ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,785.20ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は10,610元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年08月限は298.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで953.1ドル(前日比5.3ドル縮小)、円建てで3,332円(前日比6円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(7月6日 19時46分頃 先限)
 6,148円/g 白金 2,816円/g 原油 28,970円/kl
ゴム 156.6円/kg とうもろこし 23,520円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「続、米国の製油所への原油の投入量は“二番底”を打った!?」

今回は、以前の「米国の製油所への原油の投入量は“二番底”を打った!?」の続編として、米国の製油所への原油投入量の動向について書きます。

米国では、景気後退による石油製品の消費減少や輸出量の減少、移動制限によるガソリン消費の減退など、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、今年3月後半から4月後半にかけて、製油所に投入する原油の量が急減していました。

この急減後、4月下旬から5月上旬にかけて、米国の製油所への原油の投入量が“二番底”を打ったように、見えました。

あれからおよそ1カ月が経過し、改めてデータを確認してみると、以下のグラフの通り“二番底”だったわけです。

ドライブシーズンが到来したことや、一部でロックダウンの解除が進み、米国国内でガソリンを中心とした石油製品の消費が回復したことが主な要因とみられます。

このまま、製油所への原油投入量、すなわち、原油の実質的な消費量は、増加し続けるのでしょうか?

増加し続ければ、米国国内の過剰に積み上がった原油在庫の削減や、米国内で経済活動が活発化していることが示され、景気回復ムードを強める要因になると考えられます。

ただ、足元、フロリダ州、テキサス州、カリフォルニア州など、主に米国の南部で、感染拡大が再び起きているため、再び、ロックダウンが始まり、同投入量が減少する可能性もあります。

また、同投入量がこのまま増加した場合、ロックダウンが行われていない、感染拡大を防止する策が講じられていない、などを印象付け、その増加を危ぶむ声が上がる可能性があります。

平時であれば、同投入量の増加は、米国経済の回復の象徴になりますが、現在は、必ずしもそうとは言えません。

どのような背景で、同投入量が増加しているのか、あるいは減少しているのか、注意深く、見守る必要があります。

図:米国の製油所への原油の投入量 単位:千バレル/日量
米国の製油所への原油の投入量

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。