なぜ減らない!?米シェール生産量

著者:吉田 哲
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原油反発。主要株価指数の反発などで。39.20ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,975.60ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年01月限は12,475元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年11月限は270.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで989.5ドル(前日比5.5ドル拡大)、円建てで3,370円(前日比4円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月16日 19時24分頃 先限)
6,661円/g 白金 3,291円/g 原油 28,450円/kl
ゴム 188.4円/kg とうもろこし 23,700円/t

●WTI原油 日足 (単位:ドル/バレル)
WTI原油先物(期近)日足
出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡより

●本日のグラフ「なぜ減らない!?米シェール生産量」

前回は「OPEC、波乱の中で迎えた祝60周年」として、OPECという組織について、考えました。

今回は「なぜ減らない!?米シェール生産量」として、米国のシェール主要地区の原油生産量が回復しつつあることについて、考えます。

9月14日(月)、EIA(米エネルギー省)は、先月の米シェール主要地区のさまざまなデータを公表しました。

主要7地区の原油生産量の合計は、日量770万バレルと、前月比わずかに増加しました。

稼働リグ数は大きく減少していますが、新規1油井あたりの原油生産量は、大きく増加しています。

これは、新規の油井1つから得られる原油の量が増加している、つまり、生産効率が良くなっていることを意味します。

リグが減っても、生産量が回復するのは、生産効率が格段に向上しているためだと、考えられます。

目下、9月17日(木)の産油国の会合を、無事、通過できるかに注目が集まっています。

9月は、5月6月の減産非順守だった国が未達分を上乗せして削減する期限であり、4月に合意した内容に、上乗せした削減ができていない場合、減産が終了する可能性について、書かれています。

削減状況によっては、17日の会合が、急遽、総会に格上げされ、その場で減産終了が決定する可能性はゼロではないと、考えられます。

足元、OPECプラス起因の不安要素、米シェールの生産量の回復など、下落要因はありますが、メキシコ湾にハリケーンが襲来していること、株価が堅調推移していることから、強弱、ともに材料が存在しています。

17日の会合を無事、通過でき、かつ、株価上昇のサポートがあれば、原油相場は40ドル近辺まで、回復する可能性があると、考えています。

図:米シェール主要地区の新規1油井当たりの原油生産量と稼働リグ数
米シェール主要地区の新規1油井当たりの原油生産量と稼働リグ数
出所:EIA(米エネルギー省)のデータより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。