世間の関心は米大統領選挙から欧米の新型コロナ感染拡大へ!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。37.11ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,878.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年01月限は15,770元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年12月限は237.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1009.45ドル(前日比5.25ドル拡大)、円建てで3,388円(前日比13円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月29日 17時19分頃 先限)
6,316円/g 白金 2,928円/g
ゴム 246.4円/kg とうもろこし 24,420円/t

●WTI原油先物 日足 (単位:ドル/バレル)
WTI原油先物日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「世間の関心は米大統領選挙から欧米の新型コロナ感染拡大へ!?」

前回は「米シェールの最主要地区、パーミアン地区で起きていること」として、EIA(米エネルギー省)が毎月公表している、米シェール主要地区の各種データから、最主要地区である“パーミアン地区”のさまざまなデータについて書きました。

今回は「世間の関心は米大統領選挙から欧米の新型コロナ感染拡大へ!?」として、年初からの主要国の新型コロナの患者数について書きます。

足元、株価も原油も、そして金(ゴールド)も、下落しています。代わりにドルが買われている様は、新型コロナのパンデミック化、先進国のロックダウン入りが現実的になった2月から3月にかけて発生した、幅広いリスク資産の急落、“新型コロナ・ショック”に似ています。総売り状態はさながら、“第二次新型コロナ・ショック”と言っても過言ではありません。

フランスは再び外出禁止(再ロックダウン)に踏み切ることを決定しました。スペインやイタリア、その他の欧州諸国も、同様の対応がなされる懸念があり、これから、人・モノの動きが止まり、経済が停滞する懸念が生じています。前回の新型コロナ・ショックと同じ理由で、幅広い銘柄が売られていると言えます。

再ロックダウンに踏み切らなければならないほど、欧州主要国の感染状況はよくありません。以下のグラフのとおり、人口100万人あたりの患者数(感染者-回復者-死亡者)は、急増の域に入っており、スペインとフランスは、米国を超えました。10月26日時点で、100万人あたりの患者数は、スペインで19,526人、フランスで16,218人です。

100万人あたり2万人弱ということは、100人に2人弱が新型コロナの患者であるわけです。患者数の増加は医療ひっ迫の直接的な要因になり得るため、接触を避け、感染をこれ以上拡大させないための措置として、再ロックダウンが導入されたと、考えられます。

来週11月3日(火)は米大統領選挙ですが、足元の市場の関心事は、欧州の新型コロナの感染状況に移っていると考えられます。米大統領選挙の選挙戦が、稀に見る泥仕合となり非常に混沌としていること、郵送による期日前投票が多く、投票日に結果が判明しないことなど、前代未聞となっており、焦点が定まらないことも、米大統領選挙よりも欧州の新型コロナ感染拡大に関心が集まりやすくなっている要因とみられます。

原油にしても金(ゴールド)にしても、国際商品である以上、米大統領選挙も、欧州の新型コロナの感染状況も、その動向が変動要因になり得るため、ともに注目することが必要ですが、今はやや、欧州の新型コロナの感染状況に重きを置くタイミングなのかもしれません。

図:新型コロナの患者数(人口100万人あたり) 単位:人
新型コロナの患者数(人口100万人あたり)

出所:ブルームバーグなどのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。