週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.33ドル高の44.96ドル、ブレント原油は同3.58ドル高の47.75ドルとなった。

 前週末20日は反発。米国で追加景気対策協議が再開する見通しとなっていることや、米ファイザー社の新型コロナワクチンがFDAに緊急使用申請をする見通しとなり年内にもワクチン接種が始まる可能性が高まったことを好感した。

 週明け23日は続伸。米国の2社に追随して英アストラゼネカの新型コロナワクチンが有効であるとの暫定結果が発表されたことが相場を押し上げた。また、来週のOPEC総会で来年1月以降も現状の日量770万Bの減産規模を維持する可能性が高まったことも支援材料となった。翌24日は大幅続伸。引き続きワクチン接種開始による経済正常化期待に加え、米政府一般調達局がバイデン氏への政権移行を容認したことから混乱した大統領選の終了を好感しNYダウが3万ドルを突破、リスクオンの姿勢が強まった。25日も続伸。目新しい材料はないものの、上げ歓迎ムードが広がっている。また、EIA統計で米原油在庫が減少したことも買い材料視された。26日はNY市場が感謝祭で休場となる中、ブレント原油は5営業日ぶりに反落。利食い売りと来週にOPEC総会を控え様子見姿勢が強まり上値の重たい展開となった。



 今週の原油相場は材料出尽くしから目先調整局面か。11月30日のOPEC総会、12月1日のOPECプラス会議ではロシアも含め増産先送りの意見が多いとされ3か月間増産見送りとなりそうだ。ただ、相場には既に織り込まれており事実で売られる展開も考慮すべきだろう。ブレント原油も50ドルの壁を突破できずに失速しており株式市場の調整具合によってはブレント原油で43ドル程度までの下落も想定される。しかし、欧米の新型コロナの感染拡大が一服し、ワクチン接種が開始されれば経済回復の期待感から再び株式市場は反発するとみられ原油相場にも追い風になるだろう。中期的には上昇相場継続とみて押し目では積極的に買いを仕込んでいきたい。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。