週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比0.36ドル高の46.77ドル、ブレント原油は同0.57ドル高の50.18ドルとなった。

 前週末の海外原油は前日のOPECプラス会合での決定を受けてアジア時間から上昇し堅調に推移していたものの、米国時間にかけては上げ一服となり戻りを売られる展開となった。

 先週は引き続きコロナウィルスの感染拡大が嫌気される一方、英国などでコロナワクチン接種が始まったことや、米追加経済対策の協議進展期待などが支えとなり小幅に上昇した。週明けは中国政府による香港民主派議員の議員資格剥奪をめぐり、米政府が中国に対する制裁措置を発表したことから米中対立が深まるとの懸念が強まり軟調な推移となった。また、新型コロナの感染急増により各国で新たなロックダウン措置が相次い でおり、米カルフォルニアやドイツなどで厳しい措置が講じられていることも嫌気された。翌8日は欧米を中心に外出制限などに厳しい措置が再導入されており、足元の石油需要が後退するとの懸念が強まったことから小幅に下落した。ただし、米追加経済対策の協議進展期待により株価が上昇すると、原油も下げ幅を縮小する展開となった。翌9日はEIA統計において原油在庫が1518万B増加と予想外に大幅増加したことから発表直後は1ドル弱下落したものの、売り一巡後は押し目を買われる形で上昇すると、前日比ほぼ変わらずくらいの水準で取引を終えた。週末にかけては英国でコロナのワクチン接種が始まり、米国やカナダでも近く接種が始まる見通しとなっていることが好感され大幅高となった。また、ムニューシン米財務長官が追加経済対策交渉について多くの進展がみられると語ったことも支えとなった。



 今週の原油マーケットは高値圏でのもみ合い~やや上方向の展開が想定される。前述のようにOPECプラスの来年からの増産幅は小幅なものにとどまり、また米国では12月12日から、英国では来週から新型コロナワクチンの接種が開始されるとみられており、先行きへの期待感が高まっている。さらに、米国の追加景気対策の合意期待も相場を支えるだろう。こうした材料から大きくは売られにくい環境で、続伸の反動から一時的に利食い売りが出ても、押し目は比較的浅いところから買われやすいと考えられる。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。