原油固有の上昇要因:米シェール最主要地区の新規開発鈍化

著者:吉田 哲
原油反発。米国の主要株価指数の反発などで。48.38ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反発などで。1,881.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は14,620元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年02月限は314.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで825.75ドル(前日比2.05ドル拡大)、円建てで2,746円(前日比2円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月17日 18時31分頃 先限)
6,245円/g 白金 3,499円/g
ゴム 242.5円/kg とうもろこし(現時点でまだ約定なし)

●WTI原油先物(期近) 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「原油固有の上昇要因:米シェール最主要地区の新規開発鈍化」

前回は、「原油固有の上昇要因:OPECの原油生産量が低水準」として、OPECの原油生産量について書きました。

今回は、「原油固有の上昇要因:米シェール最主要地区の新規開発鈍化」として、EIA(米エネルギー省)が公表している統計から、米シェール主要地区のパーミアン地区の新規開発に関わる指標について書きます。

以下のグラフは、米シェール主要地区の中で最も原油生産量が多い、パーミアン地区の掘削済・仕上げ済井戸数と原油価格を示しています。

米エネルギー省によれば、米シェール主要地区の原油生産の56%が、米国南部のテキサス州をメインとする“パーミアン地区”で生産されています。

このパーミアン地区における、シェールの新規開発の状況を示す“掘削済井戸数”と“仕上げ済井戸数”は、足元、“新型コロナ・ショック”で原油相場が急落した際に急減した後、低迷が続いています。

原油価格は4月を底に、反発していますが、これらの井戸の数は明確な反発をみせていません。

掘削済井戸数は、リグ(掘削機)を使って掘られた井戸の数、仕上げ済井戸数は、掘られた井戸に対して水と砂と少量の化学物質を高圧で注入したり、坑井の末端を破砕したりする、原油生産を開始するために必要な最終的な作業が施された井戸の数、です。

これらの井戸の数が増えていないということは、新規開発が低迷していることを意味します。この点が米シェール全体の原油生産量が回復してない、主な要因になっているとみています。

井戸の数は、原油価格の動向に数カ月遅れて変化する傾向があることから、もうそろそろ、増加に転じてもおかしくはないとみられるものの、この数カ月間、新規開発が低迷していたことから、仮に井戸の数が増加しても、“原油生産量”の回復は、数カ月先になる可能性があります。

図:米シェール最主要地区(パーミアン)の掘削済・仕上げ済井戸数と原油価格


出所:EIA(米エネルギー省)のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。