8月に上場来最高値を更新したNY金(2月限)は、ファイザー社のワクチン実用化発表時に、金ETFの資金流出から暴落したが、200日移動平均線や、52週移動平均線が下値支持となり、グランビルの買い法則がヒットした格好となっている。
移動平均線が上向きの間は、テクニカル的な押し目買い基調に変化は出ないと見られる。一目均衡表からは、基準線~転換線水準を維持するなら、日柄経過と共に、2021年1月には、雲の下(弱気の時代)から雲の上(強気の時代)へ移行する事となる。
ファンダメンタルズからは、コロナが終息、もしくはワクチン接種に続いて治療薬が開発されたりすると、米出口戦略が浮上してくると、金利上昇観測からドル買い・金売りが意識されそうだが、足元においては、その気配は感じられない。
今年の金市場のトピックスとしては、これまで「金には金利もつかず、配当もないため、投資する意味はない」と長らく公言していたバフェットが、米大手銀行の株式を売却する一方、バリック・ゴールド株を約2090万株(5億6300万ドル相当)取得した事だ。バフェット氏の変節・宗旨替えに対しては、様々な憶測が飛び交ったが、米国証券取引委員会(SEC)四半期報告で、バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが7~9月期にバリック・ゴールドの一部を売っていたことが判明した。金価格が上場来高値を更新し、バリック株価も最高値圏にあった時期に、4割を利益確定売りにしたものの、6割は残して長期保有する姿勢と見られる。
今年、危機的な在庫水準の中、ラニーニャ現象を背景に穀物市場が年末にかけて大きく上昇しているが、2021年は食糧危機が金や原油にも大きな影響を与える可能性にも注意したい。
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