マイナー銘柄になったとしても、そのことも、原油価格上昇要因になり得る

著者:吉田 哲
原油反発。米国の主要株価指数の反発などで。48.76ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,886.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年05月限は14,015元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年02月限は306.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで842.15ドル(前日比6.05ドル縮小)、円建てで2,840円(前日比10円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月28日 18時40分頃 先限)
6,283円/g 白金 3,443円/g
ゴム 231.0円/kg とうもろこし 25,450円/t

●WTI原油先物(期近) 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「マイナー銘柄になったとしても、そのことも、原油価格上昇要因になり得る」

前回は、「“脱炭素”は進むが、人類が豊かな生活を望む限り、原油消費はすぐにはなくならない」として、脱炭素時代に原油消費がどのようになりそうか、筆者の考えを述べました。

今回は、「マイナー銘柄になったとしても、そのことも、原油価格上昇要因になり得る」として、脱炭素時代に原油消費が急減し、仮に、原油がマイナー銘柄になった場合の価格動向について、筆者の考えを述べます。

近年、減産実施などで原油価格を上昇させると(させようとすると)、原油価格の上昇は、市民にとって増税に等しく、企業にとって原材料の調達コスト上昇の要因になるので受け入れがたい、などと消費国の一部で反発の声が上がることがありました。

また、産油国は、自分が採掘した原油を買ってくれる、そうした消費国の意向を聞き入れる必要がありました。

仮に、“脱炭素”が浸透し、消費国でガソリンや軽油などの消費が減少すれば、それらの原料である原油の消費量は減少するとみられますが、このような事態が発生した場合、産油国はどのような行動をとるでしょうか。

人類が秩序ある豊かな生活と経済成長を望む限り、原油の需要はゼロにはなることは考えにくいことを逆手にとり、産油国は、販売する原油の量が減少した分、価格をつり上げる(販売単価を引き上げる)可能性があります。

このような時代では、全体的に原油の消費量が減少しているため、以前に比べて、価格がつり上がることで不平を述べる消費者が減ると考えられます。

自動車の燃料が、再生可能エネルギーに変われば変わるほど、市民は原油価格を気にすることはなくなり、やがて原油価格の上昇を増税のようだ、などと言う人はいなくなる可能性があります。

端的に言えば、原油の流通規模の縮小が、産油国側(生産者側)に有利に働き、販売単価が上昇する可能性がある、ということです。これが、筆者が考える、脱炭素が進んだ時代に起き得る原油相場の展開です。

一般的には、流通規模の縮小は価格低迷を招くイメージが先行しがちですが、こと原油においては、人類が望む秩序ある豊かな生活と経済成長をもたらしてくれる“石油製品”を提供してくれることから、消費量はゼロになることは考えにくいため、価格は生産者の手によって上振れする可能性があるわけです。

投資という側面で言えば、原油先物や原油価格連動型の金融商品であれば、出来高が減少したり、変動率が高くなったりするものの、産油国の意向が反映されやすくなるため、価格上昇が望みやすくなると考えられます。

図:マイナーなコモディティ銘柄の例(木材と綿花先物)


出所:各種情報源より筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。