“脱炭素”は進むが、人類が豊かな生活を望む限り、原油消費はなくならない

著者:吉田 哲
米国市場はクリスマスのため休場。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年05月限は14,180元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年02月限は309.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、円建てで2,827円(前日比16円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月25日 18時28分頃 先限)
6,270円/g 白金 3,443円/g
ゴム 232.9円/kg とうもろこし 25,470円/t

●WTI原油先物 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「“脱炭素”は進むが、人類が豊かな生活を望む限り、原油消費はなくならない」

前回は、「株価が上昇すれば、原油価格も上昇せざるを得ない!?」として、株式市場と原油市場の関係について、筆者の考えを述べました。

今回は、「“脱炭素”は進むが、人類が豊かな生活を望む限り、原油消費はすぐにはなくならない」として、脱炭素時代に原油消費がどのようになりそうか、筆者の考えを述べます。

“脱炭素”の議論で、テーマになりやすいのは“自動車”ですが、そもそも自動車の燃料だけが、原油の使い道ではありません。

“脱炭素”においては、国や企業、個人にいたるすべての分野で、できるだけ、原油や天然ガスなどの化石燃料を使わない(二酸化炭素を排出させない)ことが理想ですが、理想を追う上で、秩序ある豊かな生活や経済発展が排除されていない点に留意が必要です。

原油を精製すると、さまざまな石油製品が獲得できます。LPガス、ガソリン、灯油、ジェット燃料、軽油、船の燃料、火力発電所の燃料、アスファルトなどの他、化学繊維や塗料、電子製品などのプラスチック部品の原料なども同時に獲得できます。原油からガソリンや軽油といった、自動車の燃料だけを抽出することはできません。

生活必需品である衣類、現代人の必須アイテムである電子部品、市民の生活の場に規則を明示してくれる標識などに使われる塗料などは、今のところ、現代社会になくてはならない存在です。これらを、放棄することは、市民生活の根幹を自ら不安定化させることになりかねません。

この点より、仮に“脱炭素”が浸透した社会においても、原油の消費量は、一定程度残ると、考えられます。つまり、自動車の燃料であるガソリンや軽油を一滴も使わなくなったとしても、人類が秩序ある豊かな生活や経済発展を望む限り、原油の消費はゼロにはならないと考えられます。

図:原油を精製して獲得できる石油製品


出所:各種資料をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。